あんな顔を、初めて見た気がする。

俺は思わず隣の清四郎の様子を伺った。

やっこさんは目を細め、彼女らに見入っていた。

口元は微笑んでいるが、目は笑っていない。

苦いものを含んだ視線。

たぶん、俺と同じことを感じたのだ。

それに言葉を与えるとしたら、羨望。

いや、もっとありていに言えば、嫉妬。

付き合いの長い清四郎でも、きっと

初めて見るに違いない笑顔だろうから。

悠理の隣では、野梨子はあんなに無邪気に笑うのだ。

正反対の二人の少女は、なぜかしっくりと似合いの一対。

そこには俺たちの入る隙はない。

だけど、嫉妬を感じるのは・・・どちらにだろう？