こんな春の始まり

絵:ネコ☆まんま 文:フロ

 

 

 いつの間にか、季節が変わっていた。

「・・・馬鹿のくせに自信過剰で、気が強いくせに泣き虫で」
いきなり掛けられた言葉に、むっとして振り返った。
清四郎は、あたいを真っ直ぐ見つめて、微笑んでいた。

「僕はそんな悠理が好きですよ。」

 

 





さすがに、ちょっと、驚いた。

あたいの表情をうかがっている愉快気な瞳。
どうせ、からかってるんだって、わかってる。
動揺なんてしてやるもんか。

「・・・あたいだって、おまえが好きだよ。」

にやりと、笑い返す。
あいつの肩をつかんで引き寄せる。
ごちんと額が当たった。
それでも、清四郎は目を逸らさない。

「根性曲がってて、嫌味で、ゴーマンでもな!」

本気半分、負けん気半分。
鼻息を吹きかけてやると、清四郎はクスクス笑った。
いったい、何を考えてやがるのか?

額がほんのりと温かいのは、春のせい。
わくわくする、新しい季節の始まり。

 

 

 

(2007.3.14)

 


春企画のWEB拍手画面に展示していた小ネタです。ネコ氏のイラストがあんまり挑発的で素敵なんで、文章を勝手につけていつものよーに、事後承諾で展示。(笑)春企画、時期的に大変でしたが、思いもかけず大充実し、楽しかったです。

 

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