「ハロウィンの奇跡」のちょびっと続き♪
![](http://zve00252.g1.xrea.com/clap/koneta/halloween4s.jpg)
去年までは楽しかったはずの、ハロウィン。 それが、やっかいな霊感体質のせいで、恐怖の一夜に変わってしまった。 お盆のときのように、本物のオバケがやって来たらどうしよう・・・
――――清四郎、今夜は一緒にいてくれ〜〜!
と、たしかに言ったのはあたいだけれど。 あれは、言葉のアヤというか、恐怖のあまり、というか。
「・・・重くない?もちっと、離れてくれてもいいよ?」 そんな、なにも、ずっと膝に乗っけてくれなくても。 あたいの部屋のソファは大きいんだから、十分隣に座ることができるのに。 一晩中、こうしているつもりか? そりゃ、清四郎のセーターをつかんで離せないのもあたいだけど。
「嫌ですか?でも、まだ震えてますよ?」 清四郎はあたいの顔を覗き込む。 膝の上のあたいとはいつもと違って視線の高さが同じ。 強い瞳に真っ直ぐ見つめられ、あたいはなぜだか動けない。 回された腕はゆるやかなのに。
「・・・だって、なんか・・・」 近すぎる距離。清四郎の匂いに包まれ。ぬくもりが服越しに肌に伝わる。 トクトク聴こえるのは心臓の音。 気づけば体の震えが止まっていた。
「たまには、彼氏らしいことをさせてください」 「ふぇっ?!」 あれ?そーいや、彼氏だったっけ?
――――悠理、付き合ってもらいますよ! と、有無を言わさぬ勢いでたしかに告げられたけれど。
「脳足りんは僕の頭脳でフォローできても、霊感体質ばかりは時にこちらも命がけなんですからね」 む・・・”ノータリン”を漢字で発音しただろ、おまえ! いつだって、清四郎はこの調子で罵詈雑言。甘い雰囲気なんてナシ。
「このぐらいの役得は、認めて欲しいもんですな」 清四郎はそう言って、腰に回した腕に力を込めた。 ぐ、と近づく顔に、あたいはのけぞる。 なんだよ、その尖らせた唇は!タコか、おまえはっ! 反射的に逃げようとしたあたいを制するように、清四郎は叫んだ。
「悠理、トリック
オア
トリート!」
・・・・・・へ? いきなりの台詞にあたいの目は点。
「お菓子をくれなきゃ、イタズラするぞ!」 清四郎はそう言ってニヤリと笑う。 そのまま、硬直したあたいの頬を、かぷりと齧った。
「お、お菓子じゃねーっ!」 「でも、甘いですよ?」
オチはそれかいっ!
イタズラってなに?と訊いてみたい気がしたけれど、 本能がヤブヘビだと告げたので、やめた。
気づけば、あれほど怖かったハロウィンの夜が怖くなくなっていた。 あの台詞もね。
トリック オア トリート!
(2006.10.25)
web拍手にハロウィン限定でアップした小ネタです。「ハロウィンの奇跡」の一年ぶりの続編。続きはまた来年?(爆)
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