悠理と清四郎が付き合い始めて、数ヶ月。
「清四郎なんか、だいっ嫌いだっ!もう今度と言う今度は、絶交だっ!」 仲間の眼前で、悠理は叫んだ。
Girls
「なぁ、聞いてくれよー!清四郎ってば、酷いんだよー!」
「清四郎が酷い男なのは今更じゃない?」 「そうですわ、悠理で遊ぶのが趣味ですもの。よくあなたがたが交際していると、いつも呆れ・・・いえ、感心しています。」 「でも今回は、ほんと酷いんだ!あたい、許せない!」 「ふーん、じゃ、ほんとに別れちゃえばぁ?」 「ぅえっ?まぁ・・・絶交だし・・・」 「あら、でも清四郎と別れれば、誰が悠理の面倒を見ますの?悠理はしょっちゅう騒動に巻き込まれていますでしょう。すぐに命の危機ですわ。」 「そ、そんなことないじょ!あたいは一人だって・・・」 「誘拐されたり、白刃が振ってきたり、蛇に襲われたりしたとき、あの男が一番頼りになるものねぇ。」 「じきにお盆ですわ。悠理、一人でこの時期を乗り越えるのは大変でしてよ。」
「・・・・・・清四郎と別れたら、あたい、死んじゃう・・・・・?」
* * * *
「えっえっ・・・死にたくないよぉ〜〜・・・」 「ま、まぁ、悠理・・泣かないでくださいな。」 「ごめんごめん、本気で別れれば、なんて言ってないわよぉ。なんのかんのであんたたちラブラブなんだし。」 「今度はちゃんと話を聞かせていただきます。なんだったら、清四郎には私が一言意見させてもらいますわ。」 「ガツンとね!で、何があったの?」
「ぅえっく・・・えと、あのな、あたいら一緒に回転寿司行ったんだ。あれって、握ってもらう寿司と違って、何が流れて来るか、前の席の奴らにどんくらい取られてるか、博打的なとこがおもしろいんだよな。だから、あたいは注文はしねーの。ひたすら流れてくるのを待つ!品切れになる前に、好物が流れて来るのをゲットするのが醍醐味なんだよ。」
「--------。」(すでに聞く気が失せて来ましたわ)
「事件が起きたのは、カンパチが品薄ですって放送があってからだよ。あたいの前に、そのカンパチが2皿流れて来たんだ!あたいはもちすばやくゲットしたわけ!なのに、あいつってば・・・清四郎ってば・・・・」
「--------。」(あたし、これ以上聞きたくないんだけど)
「”おや、ありがとう。”なんて、涼しい顔して、あっという間に一皿食っちゃったんだよ!2貫ともだぜ?あたいが待ちわびてたカンパチだぜ?あたいに残されたのは1皿だけなんだぜ!」
「あ、あれ?野梨子、可憐、どこ行ったんだー?話の途中でいなくなるなよぉ!」
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Boys
「まぁね、僕も正直、あの悠理が僕のために1皿余分に取ってくれたとは思っていなかったわけですよ。」
「じゃあ、意地悪だったんだ、やっぱ。」 「そりゃ悠理も怒るぜ。ほかでもないあの悠理だぜ?あいつから食いモン取るたぁ・・・・・・・」 「命がけの嫌がらせだよぉ。」
「だって、おもしろくないじゃないですか。せっかくデートしてるのに、悠理はずっと回転レーンを親の敵のように睨みつけてるんですよ!」 「気持ちはわかるけどさぁ・・・」(あの悠理を選んだ時点でそもそも・・・)
「どうせ睨みつけるなら、僕を睨みつけてもらいたいもんですよ!」
「----------。」(いや、その気持ちはわかんねぇし)
「で、でもそれで嫌われちゃったら、元も子も・・・・」(普通の女の子だったら、そもそも喧嘩にならないと思うけど) 「悠理の奴、絶交とか言ってたもんな。」 「さすがに焦る?」
「・・・・・・・・どうせじきに何かに巻き込まれるかどうかして、僕のところに泣きついて来ると思うんですがね。」
* * * *
「清四郎〜!嫌いなんて嘘だよ〜っっ!」 「おやおや悠理、どうしたんですか。もう絶交は終わりですか?早いですね。」 「あたい、おまえと別れたら死んじゃう〜〜〜!!」 「ふっふっふ。そうでしょう、そうでしょう♪」
――――痴話喧嘩とは、一般的に相談に乗った人間が馬鹿を見るものである。 一般的でない、彼らの場合は・・・・・より以上。 |
ふたたび、なんじゃこりゃ?!な小ネタで失礼しました・・・
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