素直にI'm Sorry

  by 千尋様







一体、何なんです!
昨日、一方的に、僕をバカ呼ばわりしたのは悠理じゃないですか。
なのに今日になって 、わざわざ携帯にかけてきたから、謝ってくれるのかと思えば。
「今すぐ来い」とだけ言って、返事も聞かずに切るなんて!
一瞬でも、許してあげようって考えた僕が、バカでしたよ…。
それに、元々あれは、悠理、貴女の方が悪いんですよ!
もう暗いから、送っていくって、僕が言うのも聞かないで。
「大丈夫だよ」って一人で夜道を歩いて帰ろうとして。
いくら悠理でも、大丈夫なわけ、ないでしょう!
全く、人の気も知らないで…。
とにかく、「来い」って言われましたしね。
一応は、訪ねてあげますよ。
しかし、いつ訪問しても、シュールなインテリアですな…、この家は。
メイドさん達の制服がシンプルなだけに、一層、異世界感が漂って…。
…って、そんなことより今は、ワガママ娘のお相手が先決ですね。
さて、どうしましょうか…。

― 悠理。僕です。
― …悠理? 返事しろ。…入りますからね。いいですね!
―…ゆう…

…そう、きましたか…。
…全く。仕方のないお嬢さんだな。
人を呼びつけておいて、自分は猫とお昼寝ですか…。
ああっ、ソファから落ちかけてるじゃないか。

― こら。悠理。起きろ。

…「せーしろーだぁ…。本物みたぁい…」って、悠理。
夢だと、思ってますね?
そんな幸せそうに笑わないで下さいよ。
しかもまた、寝るんですね…。
お前は子供か! 悠理。
…いや、子供だな。
この間のドライブの時だって、そうだ。
余りにも、悠理が、嬉しそうにはしゃぐから、ほんの少し、からかってみただけなのに。
たったそれだけの事で、この娘さんときたら、「お前なんか知らないっっ! 一人で帰るっ!」って、いきなり車から飛び降りるんだから…。
そんなくせに、僕が悔し紛れで、ちょっとエンジンかけただけで、すぐに振り返って「せ〜しろぉ〜」ですからね。
しかも涙で一杯になった瞳で言うなんて…。
帰り道を知らないどころか、自分が今、どの辺にいるのかすら解ってなかったくせに。
それでも意地を張るんですから、子供です、悠理は。
あの時も、仕方がないから、仲直りをしてあげたんですよね…。
ああっ、もうっ。
皮肉の二つや三つは、言ってやるつもりだったのに。
これじゃ、何も言えないだろう、悠理?
でも、これだけは、言わせてもらいますからね。
一度きりしか言わないから、ちゃんと聞いておくんですよ?


「…悠理。お前はずっと、僕だけのモノだ。…愛してる」








end


**************千尋様のコメント**************
この拙作が、UPされるはめになった経緯を書かせていただきます。蛇足ですので、読み飛ばして下さっても構いません。
ある日、フロさまは「もう恋なんてしない」をUPされました。これと同じマッキーソングをネタに、オリキャラのみの小説を書いた過去がある私は、その事をこっそり、フロさまにメールしました。そして、そのマッキーソング話の代理品として、有閑小ネタ話をフロさまに差し上げました。
それが、フロさまのところでの、最初の墓穴(笑)になってしまうとは、予想だにもせず…。
今は懐かしい、チェッカーズの「素直に I’m Sorry」の、歌詞をベースに書いたその小ネタを、フロさまは、いたくお気に召したご様子でした。
そして、フロさまは、表では清四郎の唯一の擁護者(笑)を、裏では「素直に I’m Sorry」の作品提供の約束をGETされました。そうして作品は書き進められ始めたのですが、先にUPされていた人様のSSとネタがカブってしまった為、私は、一度、この話を埋葬しました。
ですが、どーしてもこれが書きたくて、「同じネタでも、料理人が違えば、味は違うさ!!」と、強引かつ、 ずーずーしい言い訳をでっち上げ、「素直に I’m Sorry」を書き上げました。
そんな作品にも拘らず、引き受けて下さいましたフロさま、読んで下さいました皆様、本当にありがとうございました。


フロです。わーいチェッカーズ♪(←世代)
千尋様ってば、これを埋葬してしまうんですもの。清×悠原理主義者の 私にはとても看過できませんでした。それで、卒塔婆引っこ抜いて、墓石が 建つ前に、救出成功v
車から飛び降りる悠理の横で悔し紛れにエンジンかける、実は結構同レベルに お子ちゃまな清四郎くんに萌えw
悠理が起きてるときには、皮肉しか言えなさそう。(笑)

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