清「もうすぐバレンタインですね。」
悠「うん。」
清「実は、欲しいものがあるんですけど、聞いてもらえますか？」
悠「・・・まさか、またスーパーコンピューターとか言うんじゃないだろうな？」
清「いえいえ、そうではありません。お金はまったくかかりませんから、安心してください。」
悠「・・・（なんとなく嫌な予感）」
清「どうして黙るんですか？」
悠「普通、バレンタインはチョコだろ？」
清「貴女がチョコをくれるとは思えませんが。」
悠「（ムッとしつつも）じゃあ、何が欲しいんだ？聞くだけ聞いてやるよ。」
清「まず、チョコのように黒くはありません。もっと白いものです。」
悠「米？」
清「バレンタインに米を貰ってどうするんです？米よりもっと大きくて。」
悠「大豆？」
清「穀類から離れてください。大豆よりもっと大きくて柔らかいものです。」
悠「大福？」
清「どこまでも食べ物で貫く気ですね？ああ、でもある意味、食べるものですかねえ？」
悠「ある意味？」
清「その点に関しては、あまり気にしないでください。」
悠「じゃあ食いモンじゃないのか？」
清「（ちょっと悩んで）まあ、基本的に食べ物じゃないですね。」
悠「へえ・・・（明らかに興味を失う）」
清「いいですか？大福とは比較にならないほど大きくて、しかも抱き心地が良いんです。」
悠「枕？」
清「この期に及んで枕と言う貴女の鈍さは尊敬に値しますが、違います。」
悠「男のくせにグチグチ五月蝿いな。はっきり言えよ！」
清「では言います。それは生き物です。しかも貴女にしかあげられないものです。」
悠「（はっとして）ま、まさか・・・」
清「そうです！やっとで気づいてくれましたね！？」
悠「駄目だよ！絶対に駄目！死んでも駄目！」
清「そんなに駄目を連呼しないでくださいよ。ずっと大切にしますから。ね？」
悠「いくら清四郎の頼みでも駄目！だって、すごく大事なものじゃないか！」
清「別にとって食おうってわけじゃないんですよ？出来る限り優しくしますし、絶対に無理強いもしません。」
悠「そんなの信じらんないもん！お前、性格悪いじゃん！」
清「その性格悪い男と付き合っているのは、どこの誰ですか？」
悠「とにかく駄目なものは駄目！」
清「（深々と溜息を吐き）それじゃあ、駄目な理由をちゃんと聞かせてください。」
悠「お前だって分かってるだろ？あたいが凄く大事にしてること。」
清「・・・そうとは思えませんけど。というより、今まで自覚したことなかったでしょ？」
悠「ちゃんと自覚してるわい！！」
清「そうですかねえ？」
（しばし、気まずい沈黙。）
悠「とにかくだっ！いくらお願いしたって、絶対にタマとフクはあげないからな！！」

悠・後ろも振り返らずに走り出す。
清・彼女の後姿を見送ることなく、その場にばったりと倒れ、昇天。
（火サスのエンディングが流れ、Ｆｉｎ。）

清「・・・僕の欲しいのはタマでもフクでも枕でもないんですが。」
悠「え？じゃあ、なんだよ。もう回りくどいんだよなー、はっきり言えって。」
清「はっきり言ってしまって、いいん・・・ですか？」
（ぽっ。）
悠「なにモジモジしてんだよ、気味ワリー。そんな言いにくいもんか？あたいが大事にしてるもんで・・・」
清「いや。このさい言わせてもらいますが、おまえはあんまり意識してませんな。 いまだって、そんな大股開きで椅子に座って。スカートのときくらい、気をつけて くださいよ。僕だって男なんですからね！」
悠「男なのはわかってるさぁ。」
清「あやしいもんですな、まったく。自分が女だって自覚してます？ま、はっきり言って、 おまえが大事にしているとは思えないな。かといって、無理やり奪うわけにも・・・。」
（モジモジ。）
悠「赤い顔して、おまえビョーキ？」
清「彼氏にそれはないでしょう！男にはイロイロあるんですっ。」
悠「・・・！わ、わかった、おまえの欲しいもの・・・！」
（赤面、脱兎。）
清「・・・そんな、逃げなくても。無理強いするつもりなんてないって言ってるでしょ。」
悠「だ、だって恥ずかしいじゃんかっ ぱんつが欲しいなんて！せーしろーの変態！」

悠・後ろも振り返らずに走り出す。
清・彼女の後姿を見送ることなく、その場にばったりと倒れ、昇天。
（火サスのエンディングが流れ、Ｆｉｎ。）

清「悠理のパンツを貰っても、使い道はありません（きっぱり）。ネットオークションに売りに出しても、 高値がつく可能性は薄いですし。（心の呟き→可憐や野梨子ならともかく。）」
悠「ま、まさかブラジャーか！？」
清「Aがみっつ並ぶくらいのサイズのブラを貰って、嬉しがる男がいるとでも？」
悠「・・・（ムカつきながら無言で清四郎を指差す）」
清「なんだか虚しくなってきました・・・（深々と溜息）。いいですか？ 僕が欲しいのはタマでもフクでも、ましてやパンツやブラジャーでもなく、 チョコよりずっと白くて大きくて柔らかくて抱き心地が良くて、お前にしかあげられない生き物で、 しかも僕が無理強いできないものです！（充分無理強いしていることに、本人は気づいていない）」
悠「ま、まさか、アケミとサユリ！？」
清「バレンタインにニワトリを欲しがる男がいたら、今すぐ僕の前に連れてきてくださいっ！！」
悠「・・・（また、清四郎を指差す）」
清「なんだか、貴女と付き合う自信がなくなってきました・・・。」
悠「お前が自信を喪失するなんて、珍しいな。」
清「誰のせいだと思っているんですか？まあ、それはいいとして、僕が何を欲しいか、 本当に分からないんですか？」
悠「うん。（きっぱり）」
清「（ちょっと涙目になって）僕のように忍耐強い彼氏も、そういないですよ。分かりました。 そろそろ白黒はっきりつけましょう！白黒はっきりと。」
悠「あっ！そうかあ、分かったぞ！」
清「やっと分かってくれましたか！？」
悠「分かった分かった。お前、パンダのランマ（注・万作ランドに併設された万作アニマルランドの 看板アイドル）が欲しいんだろ？」
清「・・・！！！（速水真澄風の白眼になる）」
悠「たしかに抱き心地よさそうだもんな〜　ランマは。でも、流石にアレはあげられないじょ。」
清「はあ・・・（心の叫び→ここまで引っ張っておきながら、『るーみっくわーるど』で オチですか・・・！！）」
悠「まあ、一応父ちゃんに訊いてみるか。」

悠・後ろも振り返らずに走り出す。
清・彼女の後姿を見送ることなく、その場にばったりと倒れ、昇天。
（火サスのエンディングが流れ、Ｆｉｎ。）

悠「おまえの欲しいものの話、父ちゃんにしたらさ・・・あたいが間違ってるって指摘されたよ。」
（シュンとする悠理。ほのかに頬を染める。）
清「！！・・・一応、質問しますが（もちろん期待はしていないが）、なにがですか？」
悠「パンダはランマでなくて、ゲンマだったよ！」
清「(まだるーみっくわーるどネタが続いてたんですか・・・。)」
悠「そんなにぐったりすることないじゃないか、清四郎」
清「いいんです、もう諦めましたから」
悠「拗ねるなよー。あたい、なんか悪いことした？」
清「ーーーー。」
悠「そんなふくれっつら、おまえらしくないぞぉ。」
（つん、と清四郎の頬を突っつく悠理。）
悠「ほらほら〜。笑えってば〜。」
（つんつん。）
清「・・・悠理。」
（ガシッと突っつく悠理の手を握る清四郎。）
悠「な、なに？今度は怖い顔して・・・おまえ、目が据わってるぞ？」
清「・・・フムッ」
悠「鼻息、荒いよ？」
清「僕はもう決心しました。欲しいものは自ら求めなければダメなんです。」
悠「うん？」
清「天は自ら助ける者を助ける！求めよさらば与えられん！」
（ガバリッ）
悠「う、うわっ？！」
清「僕の欲しいのは、米でも大豆でも大福でも枕でもタマでもフクでもアケミでもサユリでも おまえの（ちょっぴり惜しいが）パンツでもブラでも、いわんやパンダのランマでもゲンマでもありません！」
（ガサリゴソリパチリパッ）
悠「う、うひゃひゃひゃひゃっ！？な、なにしてんだよ、やっぱり、パンツとブラが欲しいんじゃ・・・」
清「いいえ、僕の欲しいのは中身です！！」
悠「いぃっ？！あ、あたいを食べるの？！煮たり焼いたり？！」
清「この期に及んで、まだボケますか？ま、いいですが。」
（ペロリ）
悠「ひゃああっ」
清「剥いて転がし舐めてしゃぶって噛んで挿れて突いて揺さぶりしっかり咀嚼し、 完食させていただきますからね！」
悠「なーーーーーーーっ！！」

（ゴソゴソゴソゴソゴソゴソゴソゴソゴソゴソ。）

悠「・・・・・・・・・あ」
清「ーーーーーー。」
悠「・・・あ、あ・・ん」

（もぞもぞもぞぞもぞもぞもぞもぞ。）

清「ーーーーーー。（ニヤリ）」
悠「う・・うぅん、あぅんっ」

（ペロペロペロペロペロペロ。）

悠「あーーーーーっ」
清「フムッ」

（ギシギシギシギシギシ○×△％◇＃＠＠＠＠＠＠＠・・・）

******お聞き苦しい音声が入りましたことをお詫びいたします。******

清「結局、無理強いしてしまったみたいですね・・・すみません、悠理。」
悠「・・・あやまんなよ・・・。でも、こんなんがバレンタインプレゼントなんて・・・。」
（悠理の目尻の涙をぬぐう清四郎。）
清「怒ってますか？」
悠「（ふるふる首を振る）だって、気持ち良かったし・・・あたいばっか。」
清「そんなこと、ありませんよ。」
悠「ぜ、全開で笑うなよ！別人みたいだじょっ。」
清「（クスクス）笑え、とか笑うな、とか。どんな顔をすればいいんですかねぇ？わがままなお嬢さんだ。」
（チュッ。）
悠「・・・えへ。くすぐったいってば。でも、ほんとにいいの？チョコとかでなくって。」
清「チョコよりも、ずっと甘くておいしかったですよ。」
（ニッコリ。）

悠・真っ赤になって殴り掛かろうとする。
清・彼女の腕をとらえ、そのまま第二ラウンドに突入。ふたり一緒に、昇天。

タンタラタラララ タンタンタン♪
（「今日の料理」テーマソングが流れ、Ｆｉｎ。）