かめお編4.5

清四郎くんのためになるウンチク講座その後 ~ロッテ優勝(・・・)記念編~

 



タイガース、まさかの四連敗で、ロッテ日本一~~』

TVでアナウンサーが絶叫するその時、ライトスタンドで呆然と佇む清四郎と悠理の姿があった。

ぼこぼこと投げ入れられるメガホンを前にして、清四郎は力なく、

「帰りましょうか…」

と呟いた。

 

人の波に揉まれ、梅田に着いた時には、11時をまわっていたろうか。

悠理は非常に空腹だったが、それを口に出せる状況ではない。

それほど、清四郎の落ち込みは見るに耐えられないものだった。

 

リッツカールトンのスィートに戻った二人は、ベッドに腰掛けた。

「…悠理、お腹空いたでしょ。なにか、ルームサービスでも取ってください」

「うん…おまえは何食べる?」

「…僕はいりません…」

清四郎は力なく呟くと、バスルームに消えた。

 

シャワーを浴びてさっぱりした清四郎は少し元気が出た。

悠理はたくさんの食べ物が並ぶワゴンの前で、じっと待っていた。

「食べなかったんですか?」

「お前と食べようと思って…」

清四郎は微笑むと、悠理とともに少しのサラダとビールを口にした。

 

悠理がバスルームから出ると、清四郎がバスローブ姿のままでぼんやりとTVを眺めていた。

バレンタイン監督の胴上げが映し出されている。

「せ、清四郎」

悠理は、思わず清四郎に抱きつこうと、一歩足を前に出した。

その時…

 

「なんで四連敗なんやねん」

「岡田のボケ。もう少し、作戦にいうもんがあるやろが」

「ロッテのくそボケガキがナメ腐りやがって」

「おまえら草野球か!毎試合舞試合、10点も取られやがって」

「セリーグチャンピオンの恥を知れ、カス!」

と、どっかのおっちゃんのような大阪弁で口汚く罵り始めた。

 

「せ、清四郎?」

悠理の言葉に振り向いた清四郎は…

目が据わっていた。

野生の勘で危険を察知した悠理は、一歩、後ろへ下がった。

清四郎は、にっこりといつもの知的な笑みを浮かべると、

「さあ、悠理。夜の日本シリーズはこれから開幕ですよ。僕はタイガースと違って、勝ちに行きますから…」

清四郎は悠理の肩をがしっと掴むと、

「覚悟してくださいね」

と、悪魔のような顔で笑った。

 

悠理が夜の日本シリーズで四連敗を喫したのは言うまでもない…

 

 

 

涙のチャンチャン♪




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こりゃダメだ、脱出!