ポアンポアン編


ラブラブシチュエーション〜医者とナース編〜


清四郎と悠理の熱い熱い日常。
尋常ならざる体力を誇る二人は、性生活(夫婦でもあるまいに)においても尋常ならざる記録を打ち立てていた。
そんなものの記録があるのかどうかは知らないが。
だが、いくら回数を重ね『あらゆる体位、あらゆる行為』に及んだとて、人間所詮飽きるものである。

そういう訳で、清四郎は「愛ある楽しい生活」の為に、もろもろの小道具を手に今日も愛しい彼女と共に下校するのであった。
なお、これをするにあたって松竹梅邸を何度か訪ねた、とは魅録の名誉を慮って内密に。
魅録所有の雑誌をめくる清四郎の目的が「男の性」などという可愛いものではなかったことを、彼は知る由もなかったのだから。
これも魅録の名誉を慮って先に述べておく。念のため。


「なぁ、清四郎」
「先生と呼びなさい」
「はい、先生って。でもさぁ、何この服?」
清四郎は剣菱家のリムジンで帰宅途中、菊正宗の自室に寄り、何やら紙袋を持参してきた。
そして悠理の部屋に入り、いつものようにおやつを済ませ、シャワーを浴びた後コレを着るように言ったのだ。

この数ヶ月の経験により、めくるめく愛の世界へ突入する前に、悠理の腹を満たしておく重要性を嫌と言うほど認識している清四郎である。
途中、いいところで「腹がへった」とダダをこねられ、首を絞めてやりそうになった経験は一度や二度ではない。
おいしいおやつと、甘く溶けるようなキスで“十分”腹と機嫌を満たした後、持ってきたモノをさりげなく差し出した。

その持って来たモノを身に着けた姿で、二人はソファに座っている。
清四郎は白衣に首から聴診器。なぜか小道具に伊達めがね。
シャワーの後ゆえ、白衣の下が裸であるのがちと妙な感じ。
↑ツウな皆様はどこかで見たっけか
それでも悠理は(清四郎って白衣似合うなぁ)と呑気に思っていた。この時までは。
悠理はピンクのナース姿。先程、清四郎が器用に製作したナースキャップを頭に乗せている。
へぇ、ナースキャップってこうやって作るんだ、と悠理は妙なところに感心した。
清四郎は(悠理にナースは無理だったか・・・)と美人ではあるが凹凸のないプロポーションに違和感を感じていた。
ちょっといつも見てるのと違う。見たのが病院かはたまた某所かは置いといて。

ま、シチュエーションに意味があるのであって、似合う似合わないは問題ではない。


「清四郎ちゃん」上目使いで怪訝な顔をして尋ねる悠理。
いつものケダモノもこうしてナース姿で上目使いはナニやらエロチック。
清四郎はコホンと咳を一つした後、きつく言い直させた。
「先生」
従順な子犬「悠理」は、若干の不服顔ながら素直に従った。
「・・・先生。このカッコで何すんの?」
「悠理に合わせて言えば、お医者さんごっこです」
「はぁ?」
「僕の言う通りにやりましょう」


シチュエーションその1・・・問診

「悠理君」
「はい」
「君、顔色が悪いじゃないか」
「え?そ、そんなことない・・です、清四郎」
ぎろりと清四郎に睨まれ、訂正が入る。
「先生」
「あわわ・・・せんせ、い」
「ベッドに横になった方がいいな。僕が運んであげよう」
「ひぇっ!」
抱きかかえられ、ポイっとベッドに放り込まれる悠理。
「悠理、セリフは?」
「ええっと・・・せんせい、なんか胸が苦しいんですけど」
悠理は本当に苦しい。
当たり前である。男に覆い被られているのだから。
「フム。胸の痛み。いつからです?」
じっと見つめられ、心臓がドキドキして本当につらい。
「少し前から・・・で、す」
悠理はセリフを難なく口にした。彼女に合わせてセリフは超簡単にしてある。
清四郎はニヤリと笑う。
「フム。では、よく診せてください」

シチュエーションその2・・・視診

1、まず顔貌を見る
うっすらと赤い頬、充血した目、苦しげに己を見つめる表情。
特異的顔貌所見は診られない。チアノーゼ、黄疸なし。

2、全身状況の把握
意識は、はっきりしているようだ。呼吸状態は少し荒い。
手を取って脈を測る。1分間に98回、やや頻脈だ。
体格は、身長166センチでやせ型、皮膚は白く滑らかで美しい。
体位はいまのところ仰臥位。(←当たり前だ。組み伏せているのだから)

3、局所の視診及び診察
「げっ!何すんだよ!」
慌てて悠理が清四郎の手を掴む。
「何って診察ですよ。胸を見せて下さい。それからセリフにないことしゃべるんじゃありません」
「変態っ」
「何度も言われなくてもわかってます。聞き飽きました」
言いながら、胸のボタンを外していく。
「フム。胸に診たところ異常なし」
そして、その顔はだんだん下にさがっていく。
「腹部も異常なし」
「清四郎!」たまらず、悠理は叫んだ後、体を起こした。
「先生でしょ」
そう言いながら、体を押さえられる。
「全身を診ますからじっとしててください」
スカートをめくり上げられると、清四郎と違ってシャワーの後せっかく身につけた下着もあっさり剥ぎ取られた。
足をくいっと持ち上げられる。
「ひゃあっ!!」
悠理は悲鳴をあげた。
じっと見られている感覚に、羞恥でたまらなくなる。悠理は、両腕で顔を覆った。
「せ〜しろ〜」もはや、涙声だ。
清四郎は、持ち上げていた足から手をそっとはずし、悠理の腕を掴むと「きれいですよ、悠理」と瞼にキスをした。

シチュエーション、その3・・・聴診

清四郎は、そのまま悠理を抱き起こすと、自分の前に座らせた。
ピンクの看護衣が腰のあたりまでめくり上がり、胸のボタンをはずして肩から袖を下ろした姿は何とも艶かしい。
どんな状況にも冷静であるはずの清四郎も、わずかな動悸を覚えた。
心臓が早鐘を打つ。想像以上のアドレナリン・バソプレッシン噴出。
思わず、悠理に当てるべき聴診器を自分の胸に当てそうになる。
「胸の音を聞きますよ、ほら息を吸って〜吐いて〜吸って〜吐いて〜」
胸に当てられた聴診器の冷ややかな感触に、悠理はビクンと体を震わせた。
そんな姿が、清四郎の情欲をまたそそる。
「悠理君、後ろを向いて」
「はい、先生」
(よく、セリフを覚えてたじゃないか)
悠理は、悠理君と言われたら、はい先生、とオウム返しに覚えているだけなのだが。
「吸って〜吐いて〜吸って〜吐いて〜」
深呼吸は、精神を落ち着ける作用がある。若干興奮状態の清四郎もやや落ち着いてきた。
が、落ち着いてきたのは清四郎だけで、悠理は背を向けた状態でワナワナと震えていた。
「異常ないようですね、って。おや?どこか具合でも悪・・?」
くるりと向きを変えると、悠理は真っ赤な顔をして清四郎を睨んだ。
微妙に不機嫌。
(なんなんだ?聴診器は嫌いか?痛くも痒くもないでしょうに)
「どうしたんです?」
「・・・・お〜ま〜え〜」唸り声。白衣の胸倉を掴まれる。
「野梨子とこんなことして遊んでたのか!」
聴診器をむしり取られ、耳元で怒鳴られた。

「するわけないでしょーーーがっ!!」
「野梨子は言ってたじょ、清四郎とお医者さんごっこしたって」

サーーーーっと血の気が引く。

「・・・・・」
したような気がする。聴診器も使った。3〜4歳の頃。
「服の上からです・・・・」

これはフォローになったのか?

シチュエーション、その4・・・触診

損ねた機嫌を直すには、魅惑的なキス。
身をもって悠理に教えたそれは、言葉以上の媚薬。
怒りに任せて投げられた枕を難なくかわし、伊達めがねもはずすと、くちづけながら一気に押し倒した。
吐息を絡めながら、ベッドサイドに手を伸ばす。
いつもそこに常備してあるそれは、甘いフルーツキャンディ。
目を閉じて、うっとりしてきた悠理に口移しでそれを含ませてやる。
ケダモノ調教心得その1・・・エサで宥める。
「んんんっ、うまい♪」
「これでよし」

基本的診察
1、まず、診察する手が、暖かいことを確認する。
悠理を相手に散々遊んでいるので、すでに手は暖かい。

2、手のひら、指先、片手、両手など手を最大限に使って、局所に触れ、その性状や異常の有無を把握する。
「悠理、痛いのは胸でしたよね」
そう言いながら、優しく胸を揉みしだく。
すっかり慣れた大きく暖かな手の感触に悠理は全身の力を抜いた。
「ふにゃ〜」
「以前と比べて、少し大きくなりましたか?」
手のひらで包み込むように胸全体をさすられ、指先で先端を擦られた悠理は甘い吐息をもらす。
「あ、ふぁぁあ、・・・」
あふ、なんだかアホと言っているのか訳がわからない。
「悠理、お腹も」
体の輪郭をなぞるように両手で撫で下ろし、腰に巻きついていた着衣を床に落とした。
片方の手で優しく髪を撫でながら、もう一方の手は下腹部を押さえるようにさすった。

3、局所により手の使い方、体位を使い分ける。
下腹部をさすっていた手のひらは、下肢へと滑っていく。
長くしなやかな指が、疼く中心へと向かった。
関節を折り曲げたその指先で、内部を探る。
「ここが一番悪そうですね」
「んんんーーー!!」
悠理の口から苦しげな声が漏れた。
「はぁ・・っ・・・」
今度は、苦しさあまって悩ましげ。
「せーしろー、服がゴワゴワしてやー!頭も痛いっ」
悠理はナースキャップをもぎ取ると、清四郎の白衣をビリっと破いた。
(まったく、この野生児が!せっかくのナースキャップを取ってしまって)
と少しばかりの未練を破かれた白衣にではなく、ピンクのキャップに残しつつ、
「はいはい、さっそく、治療しましょうね」
と言った。


シチュエーション、その5 インフォームドコンセント

悠理君、注射とお薬、どちらが先がいいですか?
ちなみに、注射を患部に打つと、天国に行けます。

お薬は白くて苦いです。
ちなみに、口まで持っていってあげますから、自分で飲んで下さい。

治療は軋むベッドの上で、ゆっくり、ねっとり、激しく行われた。


シチュエーション、その6 治療後の説明

「どうでしたか?悠理」
「なぁ、清四郎、ほんとに皆こんなことやってんの?」
「やってます。だから、街の裏通りへ行くとこれをやってるお店がいっぱいあるでしょう」
ご夫婦及び普通のカップルでやってる人については、データがないのでわからない。
菊正宗清四郎、わからないことは口にしない。
「それにさぁ、お医者さんごっこって、医者と患者じゃねーの?あたい看護婦さんの意味なかったじゃん」
「その疑問は多く聞きますが、それには大人の事情があるんです」
「大人の事情?」

「制服(を脱がせること)は男のロマンです」

バカだぁ・・・・・








チャンチャン♪……かなぁ?



次、行ってみよー!
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こりゃダメだ、脱出!