今日は久々の清四郎の休みの日。 一日ゆっくりすごし、お風呂にも入り充実した一日の終わり・・・。 「お前もこういうモノに興味があったとは・・・」 「だって入れたいんだもん、仕方ないじゃん」 ホカホカと湯気の立つ悠理の髪を優しく拭いてやりながら、清四郎が眉をしかめた。 「・・・それが人にモノを買ってこさせてまでおいて、頼む態度ですか」 「・・・初めてだし、上手く入るかわからないし」 悠理は見上げるように清四郎に視線を合わせた。 「確かにそうですが・・・」 満更でもなく清四郎は表情を和らげた。 「それに力入れるとすぐ壊れそう!」 「・・・お前は加減というものを知りませんからね」 「ムっ、さりげなく失礼だぞ。お前」 「本当に僕でいいんですね?」 髪を乾かし終え、向き合ったバスルームの前。 二人の距離は30センチもない。 「だってわたい怖いんだもん・・・」 悠理は微かに目が潤んでいる。 「普通はある程度慣らしてからですが、悠理の場合は丈夫ですから問題ないでしょう」 「えっ??もう入れるの?」 「別に僕は入れなくても構わないんですが」 清四郎はにやりと口端を上げる。 「それはいやだ」 「そうですか」 「そっとだぞ、そっと」 「ええ、もちろん」 そう言う間にも清四郎の指先は少しずつ悠理に近づいていった。 「・・・あっ、痛いっ・・・!」 「痛くありません」 「清四郎のバカ、嘘吐き!もっと優しくしろよ」 「嘘吐き・・・これ以上どう優しくしろというんですか」 「だって・・・」 「・・・あ、バカ。閉じるな」 「・・・もう、やめる・・・」 「ここまできといてもうやめるですか?最初はこんなモノですよ」 「本当にやめてもいいんですか?」 「・・・やだ」 「では最初からいきますね」 清四郎が悠理に入れようとしているモノ・・・それはカラーコンタクト。 野生動物並の視力を持つ悠理に必要のない代物ではあったが。 悠理が「どうしても欲しい」と駄々をこねて手に入れたモノ。 「・・・あっ、やっぱ無理!」 しかし、いざ入れようとすると瞼を閉じてしまう悠理。 加えて、悠理の瞳からはとめどなく涙。 「わかりました・・・やめましょう」 これ以上無理と判断した清四郎が軽く溜息を吐いた。 そして ぽんぽんと頭を撫でながら、某CMを思い出すのであった。 |