違和感を感じたのは気のせいだろうか?
今日もきっちりとネクタイを締め、スーツの上着を羽織る。
今日のスーツはアクアスクータムのシンプルなダークグレー。
ネクタイはエルメスのサル。あいつはたぶん忘れてるだろうが、僕は重要な局面にはこれを締める。
学生時代に株の配当で買ったガラムに乗る。
剣菱自動車が出しているこの車は、ほどよく高級、ほどよく庶民的。
扱いやすさと耐久性、そしてなんとなく高級感をくすぐるデザインとで、長く日本で親しまれている車種だ。
3ナンバーが主のやや大きな車体に排気量。燃費はほどほど。コストも抑えつつ有害ガスの排出を限界まで抑えた革命児。
2年前に発売されたこのシリーズの新作はハイブリッドカーである。次世代の燃料電池車は他のシリーズで開発中だ。
僕が乗るこれはまだハイブリッドではない。日に当たると緑がかって見えるこの黒塗りの車体は、大衆車に片足を突っ込んでいるはずのガラムをほんの少し高級車へと装う。
剣菱グループを統括する親会社である剣菱商事の本社ビル近くの契約立体駐車場に乗り込む。
いつもの場所に車を止めると、横にはもう黒塗りのリムジンが止まっていた。剣菱のお抱え運転手がちょうどドアを閉めて休憩にと、離れるところだった。
「おはようございます。今日は室長はずいぶんと早いんですね。」
剣菱商事会長室長、それが僕の古馴染み、剣菱悠理の現在の役職だ。
来月には世界に冠たる剣菱グループの総帥、剣菱万作氏の後継者として世界中に披露され、これまで剣菱には存在しなかった副会長の座につくことが決定している。
「おはようございます。菊正宗部長。ええ、さすがに今日はですね。」
爽やかに運転手は挨拶を返した。
代表室付管理部長。今はやや企業全体の運営に対しては実権の弱い部長職だが、この年齢でこの地位というのは破格の厚遇である。実戦部隊のトップとして様々なプロジェクトを監督するのが僕の仕事だ。
悠理が副会長に就任した暁には、僕には更に会長室付顧問というわかったようなわからないような地位が用意されていると会長第1秘書である豊作氏が言った。どうやら会長は悠理と豊作さんに実権のほぼすべてをゆだねてさっさと楽隠居の体制に入りたいらしい。そのために僕に彼らの脇を固めろ、というわけだ。
僕としても悠理を援助することはやぶさかではない。彼女をずっと見据えて支えていく覚悟はできている。だが、ここまで華々しい座を用意されるのはいかがなものか。
自動ドアをくぐる。
受付嬢達が立ち上がって僕に頭を下げる。
僕は外面の微笑とともに会釈を返すと、金属探知機をくぐった。
まずは代表室のあるフロアに行き、ロッカーに鞄を放り込む。そして社内PHSを充電器からはずして上着の内ポケットに入れた。
名札の止め具をぱちんと、音をさせて留めた。
それから会長室フロア直通のエレベーターに乗る。僕のほかには誰も乗っていない。
目的のフロアに到着するが、ドアはすぐには開かない。
階数ボタンの下にある小窓にICチップ入りの社員証(名札も兼ねている)をかざす。かちゃり、とボックスの戸が開く。
現れた2センチ四方ほどのウインドウに右手の人差し指をかざすと、ピッと指紋認証の確認音が鳴った。
ようやくドアが開く。目の前に赤い絨毯のひかれた廊下が伸びていた。
いくら掃除されてても埃が立つ気がして好きじゃない、といつだったか悠理が言っていた。
それは僕も一理あると思う。
昔は大病院のVIPルームといえば同じような絨毯敷がデフォルトだったが、いつからか病原体の温床になるから、と実家の菊正宗病院でもフローリングに改装していた。
このフロアに通されるような客たちにだって喘息持ちがいないとも限らない。
悠理が副会長になったらまずこの廊下が改善されるだろう、と思った。
この仰々しいセキュリティシステムは時代の流れだから仕方がないとも言えた。
だが、このビルにすららくだのシャツにステテコを穿いて現れるような現在の会長が、よくもこれに耐えてきたものだと思わないではない。
それとも意外と自然に彼はこれを受け入れたのだろうか?剣菱邸の無防備さを考えるとそうは考えにくいのだが。
こんこん、と一枚板のオークニーのドアをノックした。
ドアの上には目立たぬよう、煙探知機よりも小さな360度展望のカメラがついている。ちょっと見た目はただのビー球が壁から頭を出しているようにしか見えない。映像は警備室と、この中の秘書室に送られている。
だから、すぐに内部から鍵が開けられた。
「おはようございます。菊正宗部長。」
悠理付きの秘書嬢が頭を下げた。
「おはようございます、繁桝(しげます)さん。」
僕は軽く微笑んだ。
「室長は中で休憩されてます。今日はいつにもまして気合が入ってましたよ、室長。」
と彼女は電話の受話器を持ち上げながら言った。会長室長というのはそういう意味ではないのに、会長室を自分のもののように使っている上司に、僕の来訪を告げるためだ。
「じゃあ、お入りください。」
彼女がセキュリティシステムを操作すると、会長室のドアが開いた。
僕は悠理のファンである彼女に会釈をしてからそこへと入っていった。
相変わらずの部屋だ。
ドアからまず最初に目に入る部屋の奥の飾り棚には、会長・剣菱万作の金の像が置いてある。ここにあるのはまだしも大黒天の扮装をしているものだからましと言えなくもない。
秘書の豊作さんの配慮でかなり抑えてあるが、あの金の像に象徴されるように、この部屋はやはり剣菱万作の趣味で出来ている。
他にも骨董的価値が見事に相殺されてしまった金縁の壺だの、それ一つだけ飾ってあるなら美しいギヤマンのグラスだの、ごたごたとそんなものが置いてある。
そして、いずれはこの部屋の主になる彼女は、革張りのソファーに深々と腰掛けていた。背もたれに頭を投げ出している。
「戦闘準備は万全ですか?」
「あー・・・」
やや弱い声で言う。さしもの怖いもの知らずも今日ばかりは緊張しているかと思ったが、いつもの通り、しっかり目が覚めていないだけに見えないこともない態度だった。
「寝ぼけてるんですか?スピーチの原稿は?」
「うるさい。頭を振ると零れそうなんだよ。」
おや、感心にも今日の役員会でのスピーチの中身を暗記してきたんですか?でもこいつのことだ、油断はできない。
なにしろ、公の場でのスピーチでも一度も原稿どおりに喋ってみせたことがない。概要は予定通りのことを喋るのだし、かえってその飾らない言葉が魅力的と言えないこともないのだが、スピーチ原稿を彼女と一緒に考える秘書嬢など毎回冷や汗をかいている。
剣菱の次期会長として世界に披露される悠理。
今日はその前の卒業試験のようなものだ。彼女の父・万作氏も兄・豊作氏も、今日はここにはいなかった。海外で重要なプロジェクトの総仕上げの式典に参加するために不在なのだった。
「おめはもう少しで跡取りとして披露されるだよ。これっくらいの会議くれえ、簡単に乗り越えてくれると信じとるだで。豊作がおらんでも清四郎君がおるから大丈夫だべ?」
そう言い残して万作氏が豊作氏を伴って自家用ジェットに乗ったのが3日前。
いくらいささか頼りないとはいえいつもは豊作さんにエスコートされるのが当たり前だった悠理が、今日は本当に一人で役員会を仕切るのだ。普通の人間であれば緊張感で吐きそうになっているところだろう。
僕がここにいるのも、豊作さんに顔を見るだけでもしてやってくれと言われていたからだった。
だが、目の前の女はとても緊張しているようには見えない。ただ眠そうだ。
服装も相変わらず。辛うじてパンツスーツだが、明るいオレンジ色。彼女はこういう目の覚めるような色合いの服が大好きだ。
オレンジの輪切り模様のイラストが柄として入っている。シャツは赤。
僕はよほど大きな公式の場でもない限りは彼女の服装には何も言わない。言っても無駄だからだ。
それにこれは彼女の大事な戦闘服なのだろう。彼女らしさを失わぬための。
しかし、僕は違和感を感じた。
なんだろう?
悠理の力なく投げ出されていた腕がすうっと持ち上げられた。
そしてある地点から急にすいっとスピードを上げた。
ぱん、と乾いた音が部屋に響いた。
「よしっ!充電完了!」
と頬をはたいた気合とともに彼女は立ち上がった。
そして豪華な作りの会長専用デスクのパソコン端末のほうへと向かいながら、僕に事務的な顔を向けた。
「そうだ、今日の資料で今から手直ししたいところがあるんだ。新しいデータが昨夜のうちに出てたみたいでさ。」
椅子に座り、てきぱきと表計算ソフトを起動する。
「でもここだけ新しくてこのデータが古いから辻褄あわねえんだよ。お前、ここの情報持ってたよな?」
と、彼女の背後に回った僕にディスプレイを指し示す。
「ああ、これですね。すぐに呼び出しますよ。」
社内の限られた人間が全員で共有できるフォルダに入れておいたはずだ、と僕は彼女からマウスを受け取って社のメインサーバーからデータを呼び出した。
「あった。これだ。」
こうして一緒に仕事をしているとはなんとも変な気分だ。いつまでも慣れることが出来ない。
いつもいつも宿題はしない、テストは赤点、長期休暇を補習でつぶされないために僕に泣きついてきた彼女と同一人物だなんて信じられない。
あの頃の悠理は、ある意味では僕のものだったのかもしれない。
でも今の悠理は決して僕のものにはならない。
いいじゃないか、僕が望んだとおりになったのだから。
また違和感を感じた。
文句なく今日の悠理は気合が入っている。
いつにもまして輝いている。
秘書嬢も運転手も、今日の彼女の様子を頼もしく思っているようだった。
だが、何かが違う。
「悠理。体調が悪いんじゃありませんか?」
そうだ。ナチュラルメイクを覚えて、毎朝働く女性としてふさわしい装いをこらすようになっている悠理。今日もオレンジを基調としたメイクを綺麗にほどこしている。
だからわかりにくいのだが、だがなんとなく顔色が悪い気がする。メイクで隠しきれていないのだから実はかなりのものなのではないか?
悠理の顔がこわばった。
「そんなことないよ。」
と少し硬い声で言う。だが、マウスを握っていないほうの左手が腹の辺りをさすっているのを見逃す僕ではなかった。
「腹でもこわしてるんですか?いい年して食べすぎか?」
僕の声は呆れが混ざっていただろう。実際、呆れていた。大事な会議の日になんて失態だ。
「別に会議で弱みは見せねえよ。弱肉強食ってのはよくわかってるから。」
悠理は睨むようにディスプレイを見つめている。さっきから僕のほうを見ようとしない。
それはそうだろう。悠理はかなり成長した。汗のかき方すら自らコントロールしているのではないかと思えるときがあるくらいだ。
僕の心配など鬱陶しいだけだろう。
「そうですね。そう願いますよ。」
悠理が資料を完成させ、本人の専用フォルダに保存してシステムをログアウトするまで、僕はじっと一緒にディスプレイを見つめていた。
どこを見ていいのかわからなかったのだ。
会議の前に済ませておきたい仕事もないわけではなかったが、そう急ぎのものでもなかったので後回しにすることにした。
悠理は一瞬、消えたディスプレイを眺め続けた。
そして瞼を伏せ、僕のほうを振り返った。
言いたいことを言いよどんでいるときの顔だ。
近頃のこいつらしからぬ態度だ。
「痛み止め、ほしい。」
そういって彼女は下腹部を押さえて前に倒れこんだ。僕は慌てて彼女が床に激突しないように受け止めた。
「ちょっと、そんなに痛かったんですか?」
「せっかく忘れてたのをお前が思い出させたんだ。」
さすがに小声で反論する。
「トイレには行かなくて大丈夫ですか?」
今日は腸の痙攣止めは持って来ていただろうか?とロッカーの中の手持ち薬を思い出しながら言う。
すると、顔色が悪かったはずの悠理の血色がほんの少しよくなった気がした。
「違う。繁桝ちゃんに言って、いつもの痛み止めもらってきて。」
あ、そういうことか。とさしもの僕も少し頬が熱くなるのを感じた。
秘書嬢は少し驚いた顔をしていた。
「そういえばそろそろでしたね。そこまで痛いなんて気づきませんでした。」
最初に顔を合わせたときの悠理の様子に騙されていた、と言った。
そしていつもは嫌がって飲みたがらないというアスピリンと白湯を準備してくれた。
「アスピリン、嫌なんですか?」
「次の日が・・・ちょっと・・・」
と悠理はやっぱり赤い顔をして言いよどむ。
「ああ、出血が増えるんですね。血小板の抑制効果がありますからね、アスピリンには。」
他の鎮痛剤はそうでもないんですけどね。アスピリンは心臓手術などのあとの血栓形成防止のために少量使用されるくらいだ。常用している人は予定手術の一週間前には服用を中止してもらわないといけない薬なのだ。
僕がそう言うと、悠理と繁桝さんの顔が沸騰したように赤くなった。
「男がそういうこと察するな!」
と怒鳴る悠理の顔は、高校時代の僕にやり込められたときの彼女の顔そのままだった。
繁桝さんは「次はイブプロフェンとかの別の鎮痛剤を用意しますね。」と苦笑しながら秘書室へと出て行った。
ううむ、これでますます僕のゲイ疑惑が社内に広がってしまうんじゃないかと思わないではない。
女性の体のことを平然、かつ事務的に、医学的に語るのだから。
悠理は秘書嬢が用意してくれたひざ掛けを腹にかけてぶすくれた顔でソファーに座っていた。
「薬が効き始めるまでそうしてなさい。」
役員会が始まるまであと1時間はある。それまで休憩していれば治まるだろう、と僕はその場を離れようとした。
しかしその時、僕は上着の裾をひっぱられて振り向いた。
「やっぱ、時間、ないか?」
と僕を見上げる悠理の目は、子犬のようだった。
こいつのこの目を見るのはいつ以来だ?学生のとき・・・か?
「なに甘えてんですか。」
「仕事、余裕あるなら、その、もう少しここにいてよ。話してたら紛れそうだし。」
話し相手なら秘書嬢をお呼びなさい、と言いたいところだが、彼女とて悠理のお守りだけが仕事じゃないのだ。邪魔をするのは気の毒というものだろう。
「繁桝ちゃんには心配かけたくないんだ。幻滅させちゃうし。」
僕には素直になれると言うのか?
確かに僕は長い付き合いでこいつのみっともないところも情けないところもいくらでも見てきたから今更とでも言うのだろうか?
だが、そうして悠理に甘えられるのは本当に久しぶりだったので正直、僕は驚いた。
僕は悠理のいろいろな顔を知っていたはずだったのに、あまりに長いこと、彼女のこういう姿を見ていなかったことに気づいたのだ。
「仕方ありませんね。今日だけですよ。」
僕は彼女の隣に座った。
ここ最近の、僕が作り上げてきた悠理の姿とはあまりにもかけ離れたその姿に、少しくどぎまぎしながら。
今日だけだ。今日だけ。心の中で繰り返す。
悠理は僕なんかの手を必要としない高みに上らなくてはいけないのだから。
「今日もそのネクタイなんだ。」
少し口端を上げて悠理が言う。気づいてたのか、と僕は驚く。
「それ、大学卒業祝いに野梨子たちと連名でプレゼントした奴だ。」
大学卒業のとき、倶楽部の女性陣3人の連名で、僕たち男連中3人にネクタイがプレゼントされた。
一応覚えてたんだな。
「お前のはあたしが選んだんだ。だから覚えてる。」
素直に嬉しいと思う自分を僕は叱った。
僕の肩に頭を預けて目を瞑った悠理をこのまま僕の腕の中に閉じ込めてしまいそうな自分を叱りつけた。
それでも僕の手は、ひざ掛けの上から腹を押さえる彼女の手に重ねられていた。
今だけだから。今だけだから。と言い訳しながら。
悠理も、それを拒まなかったから。
話してたら気がまぎれる、と言った割にはそれからの僕たちは無言だった。
ただ静かな時間だった。
いつしか悠理は寝息を立てていた。薬が効いてきたのだろう。
そういえば、前もこうして彼女が僕の肩に凭れて眠ってしまったことがあったな。
あの日のように、彼女が涙を流さないでいてくれたらいい、と思う。
何を思っていたのか?
僕のついた嘘を責めていたというのか?
そして僕の嘘はもうすぐ揺らぎようのない真実になる。
比類なきカリスマを持ち、僕などには手が届かない女に、彼女はなる。
だから、今だけは、もうすぐだから、ここでこうしていたい。
ぴりぴりぴり、と悠理の社内PHSが鳴り出した。
悠理はのろのろとそれをスーツのポケットから取り出した。
僕は彼女から手を離していた。彼女も僕から身を離して、通話ボタンを押した。目は、合わせない。
「ああ、ありがと。今から行こう。」
そろそろ役員会の時間だった。スライドの最終チェックは気の利く秘書嬢が済ませてくれていたようだ。
そのまま、悠理は僕のほうを見ずに、立ち上がった。
「行くぞ。清四郎。出陣だ。」
その顔はさっきまでの弱弱しい顔とは対極にある顔だった。
僕が剣菱の経営に参加するようになってから見慣れた、凛とした彼女の顔だった。
ドアの外で待っていた秘書嬢が素早く悠理の化粧を直し、櫛で彼女の髪を整えてやった。
その目は、輝いていた。
美しい野獣のように強い光をたたえていた。
しなやかに獲物を絡め取る、肉食獣の姿だった。
口元にはうっすら笑みまで浮かべていた。
彼女は会議室の上席側のドアへ向かう。
僕は最末席に座るべく、エレベーターに最も近いドアをくぐる。
彼女は振り返らなかった。
会長室からここまで、ほんの少しも僕たちが触れ合うことはなかった。エレベーターの中でも、間に繁桝さんを挟んでいた。
それでいい。それでいい。
お前は僕の手など振り払って、そのまま行けばいい。
相変わらず用意した原稿など思いっきり無視したスピーチだったが、役員の誰も彼女に文句をつけることなどできなかった。
僕はただ会議室の片隅で、それを見届けるだけでよかった。
それでこそ僕の悠理だ、と思って、ふと自嘲した。なにが僕の、だ。
僕が追うのは、僕のものにはならない悠理、だ。
役員会が終わる。みな三々五々、昼食を取るためにばらけていった。
僕は代表室の部下と合流し、社員食堂へと向かった。
会議室の周辺に悠理の姿は、もうなかった。
いたとしても、僕は振り返るつもりはなかった。
今日の彼女は体調が悪かっただけなのだ。
疲れていただけなのだ。
頼れる属性の誰かがそこにいれば、僕じゃなくてもよかったのだ。
豊作さんでも、万作さんでも、倶楽部の誰かでも。
誰でもいいから頼りたいほどに、弱っていただけなのだ。
愛ではない。愛でなどありえない。
僕への愛なのかと期待することなどない。
僕なんかを愛するのかと幻滅することなどない。
だってあれは愛ではなかったのだ。
また何事もなかったように日常が始まる。
悠理は僕の作った道を一人で歩く。
僕はその道をますます固める。
僕の肩に凭れかかった彼女の重みを僕は思い返す。
絶対に僕のものにはならない、だけどあのひと時だけは僕だけのものだったその重みを、僕は忘れない。
ふふふ・・・合作シリーズ化第2弾をいただいてしまいました。せつない、せつないっす、もっぷさん!
悠理くんが眩し過ぎます。これじゃ、ほんとうに手の届かない女です。
「僕の愛は、君に届くことはないのか・・・オスカ〜ル!!」(”アンドレ、青いレモンの巻”Byベルバラアニメ版)ざんすよ!
こんな素敵なお話のコメントが↑って・・・根っからギャグでごめんなさい。(涙)
さぁ、悠理くんは、いよいよてっぺんに立ちました。これから、ふたりはどうなる?待て、次号!
・・・って、もっぷさん、よろしくお願いいたしますよぉ!(←かなりマジ)
もっぷさんのHP→【こめすた?】
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