『人間も霊長類の一種である。もしもこんな習慣が日常化していたら?』
「ごきげんよう」 「良い天気ですこと」
聖プレジデント学園の朝。 良家の子弟子女が、本日も礼儀正しく校門をくぐる。
「お早うございます、悠理」 「お早う」
黒塗り自家用車で降り立った剣菱財閥の令嬢は、背後からかけられた声に、びくりと肩を揺らせた。 振り返ると、長身の生徒会長と小柄なその幼馴染。
「お・・・早う、野梨子、清四郎・・・」
仲間ふたりの名を呼んだものの、悠理が怯えた表情で見つめるのは、上方に位置する清四郎ひとり。 清四郎は上目遣いの悠理に向かって、ニヤリと笑みを向けた。
わかっているでしょう、と言わんばかりに無言のまま、クイクイと人差し指で彼女を誘う。 「・・・くそぅ」 いつまでたっても、悠理がこの朝の挨拶に慣れることはない。
悔しげに頬を紅潮させて、それでも悠理は嫌々清四郎に近づいた。 彼の目の前に到着すると一歩の距離で背中を向ける。
「・・・毎朝こんなこと要求すんの、おまえぐらいだじょ・・・」
悠理はぶつぶつ文句を言いながら、彼に向けてプリンと腰を突き出した。 清四郎は制服のスカートごと細い腰を両手でつかみ、嬉々とした表情で悠理の背に覆いかぶさる。
「忘れっぽいおまえには、常に思い知らせなければならないですからね」
小ぶりなヒップに股間を当て、清四郎は悠理に身を重ねた。 腰を引き寄せ、突き上げ、容赦ない律動を繰り返す。 「あう・・・ちょ、ちょっと・・・」 「こら、逃げるな」 「あ、当たってるよっ」 「入れませんよ、こんなところでは」 「どんなとこでも入れるなーー!」
「大丈夫です、おまえのことは女とは思ってませんから♪」
そう、マウンティングは、雌雄に関係なく行われる順位確認行為に過ぎない。 悠理が清四郎のことを上位者と認めて以来、朝の挨拶とともに繰り返されるそれは、決して疚しい行為ではない。
「あ、ああん、あう・・!」 のしかかられ、背後から揺さぶられ。悠理の目に涙が浮かぶ。 「くく・・まだまだ・・」 清四郎は嗜虐的な笑みを浮かべ、悠理を突き上げる。 きっちりと固められた髪が乱れるほど激しく。
繰り返すが、決して疚しい行為ではない。
「・・・・清四郎、いつまでやってますの。予鈴が鳴ってしまいますわよ」 呆れたように野梨子が声を掛けて終わるのも、いつものこと。 野梨子の視線は氷点下。 しかし、あくまで疚しい行為ではなく社会的行動なのだから、責める筋合いはない。
清四郎は名残惜しげに、悠理から身を離した。 「今日はこのくらいで、勘弁してあげましょう。では、悠理、また昼休みか放課後に」 野梨子に預けていた鞄を受け取り、清四郎は涼しい顔で踵を返す。
「・・・ちくしょう、嬉しそうにいっつもあたいに乗りやがって・・・」 涙目の悠理は、その場にペタリと座り込んだ。 皆の前で否応なく行われる屈辱の行為に対する羞恥に苛まれながら。
しかし、悠理は知らない。 そんな清四郎が毎朝、家を出るなり顔を合わせる幼馴染には、尻を突き出していることを――――。
ネタ提供、チャンピョン・@@子。いやはや、エロバカネタでは並ぶものなし!おさずが!今度会ったら、お尻突き出しますねんvv(←ヤメロ)
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背景:めぐりん様