悠理のせいで、仲居のとも子に著しく誤解された(と信じきっているが、実は誤解でも何でもないエロカップル)清四郎は、其の夜、彼女を思い切り責め立てた。 どうせ誤解が解けないなら、ご想像の通りにやってやろうと、半ば自棄っぱちになったのだ。 しかし、察しの良い方々ならば、既にお分かりだろうが、半分は自棄といっても、残りの半分は―― はっきり言って、彼の趣味であった。 しかも、かなり性質の悪い。 厳しい鍛錬で手に入れた鋼の肉体と、神より賜った最強の@@が、清四郎の並々ならぬ欲望を可能にする。並みの女体なら耐え切れずに失神でもするだろうが、生憎、相手は無敵の体力を誇る悠理であるから、遠慮する必要は皆無である。 箍の外れたエロ馬鹿ケダモノカップルは、隣室のみならず、下階・上階の部屋の宿泊客まで逃げ出すほどの傍迷惑、かつ、熱く蕩けるひと時を過ごした。 深夜。 清四郎と悠理は、一組の布団からうつ伏せの上半身を並んで出していた。 くっついた肩の温もりが、とても心地よい。 清四郎は気だるげな下半身に情事の余韻を感じながら、愛する恋人の耳朶にくちびるを寄せた。 「悠理。これで僕以外のモノになど、興味が湧かなくなったでしょう?」 「・・・ん・・・」 まだ喜悦から醒めていない悠理が、清四郎の腕に頭を摺り寄せる。 「・・・せーしろーのが、一番いい・・・他のは一本もいらない・・・」 恐らく、悠理は自分がどれだけエロい発言をしているのか、まったく気づいていないだろう。清四郎はくすくす笑いながら、ふわふわの髪を指で梳いた。 「まったく、本当に可愛いケダモノですね。」 まあ、何はともあれ、これでもかと言うほど、二人の相性の良さを実地で検証したのだから、悠理が他の男の@@を気にすることはないだろう。 しかし、また何時に軽い興味が湧くとも限らない。 今のうちに、ある程度の知識は与えておくべきだろう。 清四郎は手を伸ばして、座卓の上にあった番組表のコピーを取った。 厚手のB4紙を丸めて、筒を作る。 「悠理、悠理。これを見てください。」 「ふにゃ?」 悠理がとろんとした眼を上げて、目の前の筒を見る。 「平均的な日本人男性の男性器は、凡そこのくらいの太さです。」 それを見た悠理の眼が、驚きに見開かれる。 「えっ!?こんなに長いの?」 「・・・長さではなく、太さです。こんなに長かったら、腸まで掻き回してしまうでしょうが。」 「@@って、腸まで掻き回せるものなの?」 「ものの喩えですっ!人体の構造上、そんなことは出来ません。」 悠理は、吃驚した、と呟いて、安堵の息を吐いた。きっと、B4幅の長さで腹の中を掻き回される想像をしていたのだろう。 悠理の理解力を侮って・・・ではなく、買い被ってはいけない。とにかく『分かりやすく、簡単に、噛み砕いて説明』を心がけるべきである。 清四郎は番組表を折ってちょうど良い長さにし、もう一度それで筒を作った。 「長さ、太さともに、こんなものでしょう。」 「へえ・・・」 悠理は興味深げに筒を眺めてから、清四郎の顔を見て感嘆の声を上げた。 「清四郎って、平均じゃないんだね。」 ええまあ、と答えながら、こほんと咳をする。 平均を超えているかいないかは、個々の想像力にお任せするとして、話は進んでいく。 「まあ、これはあくまで平常時ですから、興奮時とは少々違ってきます。膨張率も結構な個人差があるらしいです。流石の僕も、人様の@@が逞しくなっているのを見た経験はありませんので、一概には言えませんが。」 「見たことないの?」 悠理があっけらかんと質問してくる。 「・・・僕に喧嘩を売っているんですか?」 清四郎は片眉を吊り上げて、悠理を睨んだ。 見たことあるわけないだろう。と言うか、見ていたら大問題だし、見たいと思わないから、こうやって悠理と付き合っているのだろうが。 悠理と交際している今も、そう誤解している輩も多いため、声を大にして言いたい。 清四郎に、その手の趣味は、まったくちっとも全然微塵もないのだ。興味があるのは女体だけ。しかも、今は悠理ひとすじだ。 「とにかく、平均値はコレですが、個人差があると覚えておいてください。」 「色も、個人差があるの?」 清四郎の脳裏に、道場の浴室で稽古仲間と汗を流した光景が甦った。あまりにも生々しく、あまりにも拝みたくない@@の群れに、慌てて回想をストップさせた。 「人の肌は千差万別ですからね。ほら、野梨子は年中白い肌をしていますけど、魅録は真冬でも黒いでしょう?それと一緒ですよ。」 「野梨子には@@なんかついてないじゃん。」 「う。」 思わず嫌な想像をしてしまい、軽い眩暈に襲われる。清四郎が何を想像したかは、彼本人と、そして野梨子のために、あえて秘密にしておこう。 「喩えが悪かったですね・・・白人黒人黄色人種。同じ人間と言っても、千差万別です。だから、色や大きさも違うし、個性もある。それは、分かりますね?」 「うん。黒人さんなんか、身体の大きさからして違うからな。」 悠理は大きく頷いた。悠理の理解力でも、人種による体型差は分かるだろう。 「同じ日本人でも、華奢だったり、大柄だったりしますね?肌の色もそうです。黒いから長持ちという迷信は、きっと黒いほうが強く見えるからでしょう。」 「おお、なるほど。そっか、清四郎の鼻は高いけど大きくないし、@@の色も黒くないけど、@@は・・・むぐぐ。」 清四郎はお喋りな口を掌で押さえた。いくら二人きりであっても、恋人の口から@@の評価を聞くなど、まさしく聞くに堪えない。 「とりあえず、これで疑問は解けたでしょう?」 清四郎の掌の下で、悠理がうんうんと頷いた。 彼女も納得してくれたようだし、これで@@について色々聞くことはないだろう。清四郎はほっとして、『若い女性にしたくはない講義』を終了させようとした。 が、悠理はそんなに甘くはなかった。 悠理がもぞもぞ動いて、清四郎に身体を寄せる。先ほどたっぷり愛し合ったのに、また足りないのか。まあ良い。それはそれで美味しく頂こうと、掌を滑らかな背中に這わせた。 「なあ、清四郎。」 きらきら光る瞳に、清四郎が映っている。 「はい?」 可愛い恋人に、清四郎は蕩けそうな笑みを向けた。 「フニャ@@って、どんなの?」 清四郎は笑みを浮かべたまま、ずるずると布団に突っ伏した。 フニャ@@だけでなく、早@や遅@についても、さらに@茎や粗チ@まで、聞かれるままに、いちいちすべて悠理が理解できるよう、噛み砕いて説明した。 いくら講義好きの清四郎だとて、話す内容が内容であるため、いささかの照れはあったものの、こうなれば自棄っぱちだ。 お陰で悠理はいたく満足したようで、くふふ、と不気味な笑い声を漏らしている。 「すっごい物知りになった気分〜♪」 ・・・その知識は、著しく偏っているだけでなく、日常生活ではまったく役に立たない。 と、言うより、誰かに話したら間違いなく引かれるだろう。 「ありがとうねっ。清四郎、何でも知っているから、もっと好きになった!」 悠理が抱きついてきた。清四郎の背中に、裸の上半身が密着する。その柔らかな感触に、清四郎の分身であるケダモノがむくむくと頭を擡げてきた。 「僕も好きですよ。」 体勢を入れ替えて、悠理の瞳を覗きこむ。 お互いの視線が絡んで、熱く蕩け合う。 いざ、めくるめく愛の世界へ旅立たん―― 「でさ。真珠入りって、どんなの?」 がっくーん。 清四郎の頭が、勢いよく垂れた。 「・・・真珠は固いですからね。挿入しても、快感を得るより異物感のほうが大きいようですよ。審美的にもよろしくないですし。それでも男根神話に心酔して、入れたがる男は多いようです。まあ、今は固くて高価な真珠ではなく、安価で柔らかいシリコンボールを入れると聞きますが。」 答えられる知識を持った自分の明晰な頭脳が恨めしかった。知っているのに知らない振りが出来ない、薀蓄好きな自分もかなり恨めしい。 しかし。 きらりん、と暗がりの中で清四郎の眼が輝いた。 「悠理。確か、おやつにグミゼリーを持っていましたね?ちょっと貸していただけますか?」 「あ、うん。」 裸の悠理は四つん這いで布団から抜け出して、そのままの格好で自分のバッグへ近寄った。本人はまったく意識していないようだが、後ろから見ると、かなり淫靡なスタイルのため、清四郎のケダモノはよりいっそう頭を擡げる。 「はい、これ。」 悠理が差し出したグミゼリーを受け取り、清四郎はニヤリと笑った。 「百聞は一見に如かず。正確には、百聞は一体験に如かず、ですかね。」 清四郎はグミゼリーを手にしたまま、反対の手で布団の脇に放り投げていた『今度産む』の箱を引き寄せた。 悠理の四つん這いバックスタイルを拝めたお陰で、臨戦態勢は既に整っている。 「本物の真珠ではないのが残念ですが、代用品でも充分です。思い立ったが吉日、早速どんなモノか二人で試してみましょう!!」 そして―― 「ぎゃあああ!!あたいの、あたいのグミゼリーがあああ!もお食べられないい!!」 悠理の哀しげな絶叫が、星もない夜のしじまに木霊した。 翌朝、とも子が客室の前で朝食の配膳をすべきかどうか、悩んでいたとかいないとか。 真実は、既に忘却の彼方へと流されていた。 |
フロでっす♪まさか、18歳未満や心が処女or童貞の方は読まなかったでしょうね?
このおまけは、お馬鹿部屋のウンチク編に入れようかどうか悩みました。でもその場合、「清四郎くんのウンチク講座@@@編」(@@@はもちろん局部vv)というタイトルにせざるを得ないので諦めました。(笑)
ありがとうhachiさん。「非公開にして〜〜」という往生際の悪い悲鳴が聞こえて来ますが、シ・カ・ト♪