ゆっくりと回る観覧車の中では、時間もゆっくりと回る。
最初ははしゃいで交わしていた会話も、時間と共に途切れがち。
清四郎と、二人っきりの室内。
何となく、気まずくて。あたいを見つめる清四郎の視線が、面映くて。
あたいは、清四郎から視線をそらすと、手に持っていたポッキーを口に咥えた。
ポリ。噛み切る音が、室内でやけに大きく響く。
夢中でポッキーを咀嚼し続け、次の一本を口に咥える。
視界の端で、黒い瞳が切なげに伏せられる。
「僕にも、下さい」
ふいに、暖かな体温を感じた。
肩に置かれた大きな手。咥えられた、ポッキーの片端。清四郎の、熱を帯びた視線。
ゆっくりと回る観覧車の中で、ゆっくりと、時間が止まる……
絵:ネコ☆まんま様 文:麗様
背景:柚莉湖♪風と樹と空と♪様