■Ein kleiner Wunsch
【 Besonderes Zimmer Seite2
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成り行きで盗聴器を造ることになって、学校の帰りに材料を揃え、これも成り行き上、家族、特に親父に見つかってはマズイので、帰宅後ずっと部屋に篭って作業をしている。知識はあるし細かい作業も苦ではない。しかし長時間ともなれば、肩も腕も悲鳴を上げはじめる。手にしていたドライバーを放って、焦点の合わなくなってきた目を擦った。 煙草を咥えて火を点けると、溜まった空気を抜くように、長く息を吐き出した。そういえば高校に入ってから随分本数が減った。
生徒会役員選挙か・・・。 ったく、途方もないことを言いやがる。誰かが落選したらどうする気だ? その考えは即座に否定された。そんなことを思った自分が可笑しくて、くっと笑う。 清四郎の考えだ。それはありえねぇな。
俺が清四郎に会ったのは、悠理に引っ張られて遊びに行った日。 広いと思っていた交友関係も、知識も、度胸も、上には上が居るのだと思い知らされた。同い年というのが、俺のプライドを刺激したが、押さえているフィールドが微妙に違うせいか、妙に気が合った。 その日を境に元々知り合いの悠理をはじめ、清四郎、野梨子、美童、可憐ともツルむことが多くなって、それまで面白味のないと思っていた金持ち学校の聖プレジデントにも、興味が湧いた。 入学した学校でヤツ等はやはり一目置かれる存在で、そんなヤツ等と始終一緒に居るものだから、割とスムーズに学校に馴染んだ。 清四郎は思った通りで、教職員に受けの良い優等生で、隙がなく、誰にでも頼られる。だが、それだけではない。結構危ない橋も平気な顔で渡っているのを知っている。感情を隠すのが上手いが、あまり性格の裏表を感じさせない。随分ケタの違うヤツだと思った印象は今もさして変わりが無い。
でもただ一度だけ、あれが清四郎の素の顔じゃないのか、と思う出来事があった。 それは、知り合って暫く経った頃。
*****
男山の散歩の途中、商店街でばったり悠理に会った。 悠理はつまらなそうに、商店街を行き交う人を眺め、また歩き出すといった具合だ。 声をかけると、いつもの顔でにっと笑った。 下校には遅い時間だったので、聞いてみれば、面倒な「イインカイ」とやらがあったらしい。 悠理だったら平気だろうが、こんな時間に一人でフラフラと制服で歩いてもいいワケじゃない。 今はすっかりしゃがみこんで男山とじゃれているコイツだって、日本で屈指の財閥のお嬢様だ。 まぁそんなこと気にするヤツではないが。 家に来るか?と誘ったら、嬉しそうに男山のリードをひったくった。
「魅録の部屋久しぶりー!」 「そうだっけ?」 「だって最近外で会ってばっかじゃん」 「・・・・・・だな」 思い返してみれば、確かに他のヤツ等と一緒に外で会うことが多くなった。去年は頻繁に遊びに来ていた悠理も、最近は来てなかったなと思い出す。 キョロキョロと部屋を見回す悠理に、分解掃除中のバイクの部品には触るなよ、とだけ言って机に腰掛ける。悠理はデスクチェアに足を投げ出して座った。
「で?何だってあんなトコ歩ってたんだ?」 悠理が座っている椅子を足で軽く蹴飛ばし、こちらを向かせる。 「だから、イインカイ。名輪待たせてたら悪いじゃん」 「遅くなっても待つのが運転手の仕事だろうが」 だってさ、と悠理は唇を尖らせた。 「あたいだけの運転手ってわけじゃないもん」 そう、コイツはこういう気の使い方をするヤツだ。もし悠理が世に言う処の普通のお嬢様だったら、たぶん一緒に遊ぶことなんか無かっただろう。大体にして、最初に出会ったのも喧嘩の最中だったのだ。 俺のダチと一緒でも、自分がでしゃばることはしない。基本的に相手の話はちゃんと聞くヤツだ。悠理の家族は皆忙しくて、滅多に家に居ないと聞いたことがあるから、案外淋しがり屋なのかも知れない。そういった中で身に付けた自然な気遣いが、その言動に見合わなくて時々笑える。 悠理は気が短いし、手も早い。しかも女だてらに強い。 このあたりでは結構恐れているヤツも多いというのに、そんなことはお構いなしだ。 学校のヤツ等には、通る我侭はとことん言いたい放題、甘えられるやつにはきっちり甘えるのだ。 喧嘩も強いが、随分幼いところもあったんだなと思ったりした。
余談だが、親父は何故か悠理を知っていた。まぁ剣菱財閥の令嬢ともなれば知っているのは当たり前かも知れないが、「随分大きくなったなぁ、しかし剣菱には似とらんな」など悠理をじろじろ眺めて笑っていた。事の真相を知ったのは今よりもずっと後の話だ。
「キクマサムネが悪いんだよ」 悠理が口を尖らせる。 「清四郎がどうしたって?」 「用事あるって先に帰っちゃったんだよ、いつもなら30分で済むイインカイが大揉めでさ」 なるほどな、いつもの調子でさっさと話を纏め、有無を言わせぬ迫力を持つ清四郎が居なかったものだから、今日の委員会は白熱したらしい。清四郎が居なかったことで、ここぞとばかりに発言した輩もいたのだろう。結局は悠理が「だらだら話ても埒が開かないから後日!」と一喝して終わらせたそうだ。 運転手も先に帰し、つまらない話に付き合わされて気分が悪かった悠理はぶらぶらと歩いて帰っていたところを俺に見つかったのだ。
まぁまぁと宥めて、何か飲むもん持ってくると机から降りた。 開けようとした扉が向こうから開いて、顔を出したのは親父。 「魅録、友達が来とるぞ」 「誰?」 「菊正宗とか言っとったな」 噂をすれば影。 親父は口元に笑みがたたえられてい、いやに嬉しそうだ。いつもはあまり親父の好みとは言えない連中とツルんでいて渋い顔をさせることも多いが、どうやら清四郎は親父のお眼鏡に適ったらしい。きっと玄関先で礼儀正しく挨拶なんかしたんだろう。品行方正な優等生の顔で。その様子が見なくても目に浮かぶ。
「突然すみませんね、魅録」 「いや、特になにもしてないし、上がって行けよ」 部屋に通された清四郎が、俺に向かって軽く手を挙げるが、視線の先はクラスメイトの悠理。 「おや、悠理も居たんですか、委員会ご苦労さまでしたね」 清四郎がにこやかに声をかけると、悠理はじろりと清四郎を見上げた。 「ぜんぜんまとまんなくて、すげー時間かかった」 「それは、すみませんでしたね」 再度詫びを入れる清四郎はしれっとしたもの。悠理のふくれっ面を気にせず、あの案件はどうなりました?なんて聞くから大したモンだと思う。 南の番長を倒したぐらいだから、清四郎の腕っぷしだって相当強いはずだ。でもそれ以上に悠理を丸め込むのが上手いと思う。無鉄砲な悠理を完全に掌握している。 まるで、お釈迦様と孫悟空のような関係。 「キクマサムネさ、今日用事あるって言ってなかったっけ?」 ますます不機嫌な顔で、悠理は椅子から放り出した足をぶらぶらと揺らした。 「だから委員会には出られなかったでしょう、もう用事は終わりましたよ」 「じゃあ、魅録んトコに遊びに来たってワケ?」 あぁ、とようやくここに来た理由を思い出したように、清四郎は持っていた封筒を俺に差し出した。 青味がかったアイボリーの上品な封筒には、彼らには馴染みのロゴが打ち出してある。 「これ、頼まれていたものです、魅録なら大丈夫ですよ」 「サンキュ、わざわざ悪かったな」 「いいえ、お安い御用ですよ」 受け取った封筒は聖プレジデントの封筒だ。悠理の目がその封筒を追う。
「開けて見れば?」 ニヤリと笑ってそのまま開封せずに悠理に封筒を渡す。訝しんだ悠理はがさごそと音を立てて中身を取り出した。中身は一冊のパンフレットと必要な用紙が何枚か。 悠理の顔がパッと輝いた。椅子からも勢いよく立ち上がる。 「み、魅録ウチのガッコ受けんの!!」 「まぁ、な」 ポリ、と鼻の頭を掻いたのは照れ隠し。 少し前、清四郎から高校は聖プレジデントを受けてみないかと誘われた。俺がヤツ等の居る学校に興味を持っているのを察したのだろう。 しかし其処は全国にも名高い超有名私立学校。政界、財界、梨園と親族が有名なのは当たり前。 悠理は財閥の会長にして剣菱グループの総帥の娘で、清四郎は都内に大病院を構える医院長の息子だ。幼い頃からからエスカレーター式で登ってきている者ならいざ知らず、高校入学の間口はどうしても狭い。さらに学力も高い。全国模試の上位は聖プレジデントで占められている。 俺にしたって、ああ見えて親父は警視総監だし、お袋だってまぁアレだけど悪い所の出ではない。 学力は今を維持できれば、何とか入学試験は通過できるだろう。 それで、ようやく決心がついて、清四郎に連絡を入れたのが昨日。早速学校案内のパンフレットと願書を持ってきてくれたというわけだ。
「やった!魅録が来たら、すげー楽しくなるじゃん!!」 悠理は、机の上に封筒を放りだし、俺の手を握ってぶんぶん振りまわす。さっきまでの仏頂面は何処へ行ったんだよ。 でも、満面の笑みを見ていると、まぁこれで良かったよなと思う。 「おいおい、まだ受かったワケじゃねーって・・・」 苦笑しながら、ふと顔をあげる。悠理の行動に俺と同じ苦笑を浮かべていると思った清四郎は、俺たちから目を逸らすように、カーペットについた煙草の焦げ跡をじっと見つめていた。物思いにでも耽っているのか心ここにあらずな顔。 「清四郎?」 「あ、はい、何ですか?」 清四郎は、ビクっと肩を震わせて顔を上げた。 「どうした、ぼっとして」 「いいえ、何でもありません」 そう告げた顔は、いつもと同じ。一度首を振り、長い前髪を掻き揚げる。それからようやく悠理の手が俺の手を掴んでいることに気づいたように、貼り付けたような苦笑を浮かべた。 ぎくしゃくした動きに違和感を感じる。 「あり?」 ふと何かに気づいた悠理が俺の手を離した。近距離で軽く首を傾げる。 「でも魅録さ、西高か東高受けるって前に言ってなかったっけ?」 「そのつもりだったんだけどな、清四郎サンに誘われたので聖プレジデントにしてみました」 棒読みのまま、清四郎に向かって親指を立てる。 前髪を揚げて形の良い額を出したまま、僕のせいですか?と言わんばかりに清四郎が目を細めた。
次の瞬間大声を出したのは悠理。 「でかした!キクマサムネ!!」 その言葉に固まったのは俺、悠理、お前何様のつもりだよ! 腰に手を宛てて踏ん反り返る悠理は何故か得意気。 クラスメイトのその態度にはさすがに清四郎も怒るだろう。清四郎を怒らせたら怖いってまだ学習してないのかよ。嫌味が来るのか冷たい一言が来るのか俺は一瞬身構えた。パサリと落ちた前髪の奥にある目がどんな色をしているのかなんて見たくも無い。 「・・・・・・悠理」 「ん、なにー?」 案の定、降ってきたのは低い声。 臆することない悠理の返事は間延びしたもの。俺の心臓はバクバクと音を立てはじめた。 「お褒めいただき恐縮ですが、一つ言わせていただいてもいいですか?」 「たから何?ハッキリ言えよっ、キクマサムネの言い方は周りくどい!」 「・・・・・・そのキクマサムネってやめてもらえませんかね」 「ほぇ?」 俺は再び固まった。悠理も清四郎を見上げたまま素っ頓狂な声を出した。 すっかり気分を損ねたのだと思っていた清四郎が悠理に返した言葉はあまりにもらしくないもの。 しかも、こんな清四郎の顔は今までで一度も見たことがない。少し困ったような恥ずかしそうな顔をしているものだから、そりゃ固まるなというほうが無理だ。
悠理の驚きに見開かれていた目は何度か瞬きを繰り返した。 「だってさ、キクマサムネはキクマサムネだろ?」 「それはそうですが・・・」 「別にどっちだっていいじゃん、呼び方なんてさ」 「そういう訳にもいきません」 清四郎は「野梨子は名前で呼ぶのに、僕だけどうして・・・・」とぶつぶつ言っている。 おい!それじゃ逆効果だって!悠理はさっきハッキリ言えって言っただろうが。明らかに不快指数の跳ね上がりそうな悠理に対して、俺は慌ててフォローを入れることにした。 「あのな、悠理」 「ん?」 「俺ら最近一緒に居ることが多いだろ?俺だって清四郎って呼んでるしな。お前だけキクマサムネって呼んでるとな、お前等仲悪そうに聞こえるんだよ、他のヤツらも気ぃ遣うだろ?だからだよ」 「でもずっとキクマサムネって呼んでるし今更なぁ〜」 「いいから!あんま俺らに気ぃ遣わせるな!」 ぴしゃりと言ってやると「それもそうだな」と悠理が返した。この切り替えの早さもいかにも悠理らしい。 口の中で何度か「清四郎、清四郎」と廻した後、ぐるんと清四郎を振り返った。 「せーしろー?」 「ま、最初としてはそんなものでしょう」 何で疑問形なんだよ、と突っ込まなかったのは、悠理と向かい合っている清四郎の顔が、ほんのり赤く染まっていたから。何が最初はそんなもんだよ、嬉しそうな顔しやがって。
「んな、名前で呼ばれたいもんなのかねぇ」 「やっと同じクラスになれたのに、いつまでも苗字で呼ばれるのは他人行儀ですからね」 頭の後ろで手を組んで気楽な悠理に対して、清四郎の答えは存外真剣さを含んでいた。 ん?やっと? 悠理の話の中に清四郎の話が混ざってきたのは中学3年になってから。つい最近の話だ。 やっと、ということは、清四郎は随分前から悠理を気にかけていたという訳で・・・。 苗字ではなく名前で呼んで欲しいとか、ほんのり嬉しそうに赤くなった顔とか。他人行儀が嫌だという真剣は声だとか。
まさか、まさかとは思うが、マジかよ!?
まだ音が高い心臓を押さえて、そろそろと視線を移動させて清四郎を見ると、しっかりと目が合った。 そこには音が出そうな程、にっこりと笑い、腕を組み直すヤツの姿。 けどな、清四郎、お前、俺を見ている目が笑ってねぇよ。 無言の制止。悠理には言うなよってことか? それは、俺を三度固まらせるには十分だった。
「茶も出さずに悪いけどな、お前ら帰れ」 「えー、なんでぇー?さっき来たばっかじゃん」 悠理が抗議の声を挙げるがとりあえず無視。清四郎も態度の変わった俺に片眉をあげた。悠理を此処にくるかと呼んだのは俺だし、清四郎にも上がっていけと言ったが、今はそれどころではない。 こんな空気耐えられるか!! 「悠理、送りましょうか?」 雰囲気を察した清四郎が悠理の顔を覗き込む。嬉しくて仕方が無い顔は、それなりに同じ年なのだと思わせた。それは好きなヤツに構いたくて仕方が無い顔。 「魅録に送ってもらうから、いい」 悠理は清四郎から、ふんっと顔を逸らした。 「悠理、俺送れないぜ」 「何で?いつもバイクで送ってくれんじゃん、そうしてくれよ」 「お前にはアレが見えないのかよ」 ホレと指差した先は、分解掃除中のバイクの部品。運転手を先に帰したぐらいだから、今日これから迎えを呼ぶのは無理だろう。バイクだってコレ一台という訳ではないし、いつも通り送ってやることも可能だが、清四郎が悠理を送りたそうなので、そこは敢えて黙っておくことにする。 「魅録ちゃぁん」 「清四郎、悪いけど悠理のこと頼むわ」 「了解、さ、魅録の邪魔になりますよ、帰りましょう」 清四郎が部屋の入り口に置いてあった悠理の鞄に手をかける。しぶしぶと言った感じで悠理が後に続いた。
玄関先まで見送る。もうすっかり陽も暮れていた。街灯に照らされた悠理が俺に手を振る。清四郎も軽く片手を挙げた。 「んじゃな、魅録」 「おぅ!また遊びに来い!清四郎もサンキュな」 「いえいえ、魅録が居てよかったですよ。また何かあったら言ってください」 「あぁ」 背中を向けて歩き出した2人の会話が聞こえてくる。地下鉄とバスどちらがいいですか?と聞く清四郎に悠理が地下鉄!と元気に答えていた。何かの拍子にぶんぶんと清四郎が悠理の鞄を振り回す。悠理は取り戻したいのか止めたいのか清四郎に向かって飛び掛っていた。 「ふざけんな、キクマサムネ!」 遠くに悠理の叫び声が聞こえる。俺は笑いを堪えるのに必死だった。
*****
悠理が構えず清四郎と呼ぶようになったのは、それから間もなくだったと思う。俺も記憶にないが、いつの間にかキクマサムネではなくなっていた。「せーしろー」と独特の呼び方ではあるのだが。 そういやあの2人はどうなったんだ?と考えてみる。 聖プレジデントに入学して、益々あの5人と一緒に居る時間が長くなったが、どうやっても仲間の域は出ていない。どちらかといえば、清四郎は悠理よりも野梨子と一緒に居るほうが多いし、悠理も放課後はほとんど俺に貼りついている。清四郎と悠理の組み合わせは専ら清四郎が悠理をからかう時に多く見られる。悠理は相変わらず短気で、言われたことにカッとなり易いし、反論も多い。清四郎もそんな悠理を楽しそうに見ている。お釈迦様と孫悟空だと思った関係は益々進んでいるようだ。 でもあれが俺の勘違いだったとは、どうしても思えない。 清四郎のあんな嬉しそうな顔も、恥ずかしそうな顔も、見たのはあれ一度きり。 ヤツが悠理に惚れてんのは間違いないはずなんだけどな。
でも、と思いつくこともある。 先日、皆で忍び込んだ生徒会室で、くしゃっと悠理の頭を撫でた清四郎は、その後暫くその手を見詰めていたっけ。悠理を覗き込む顔も、他者に向けられるものとは少し違う。 たぶん野梨子にだって目を細めて眩しそうな顔を向けることは無いだろう。 ってことはアレだ。清四郎は未だに悠理を想ってるってことになるよな。 案外、生徒会役員に立候補しようと言い出したのも、悠理と・・・。 まぁ、それもこれから楽しみの一つになるのだろう。プライドの高い男がこれからどうするのか、とくと拝見させてもらうとしよう。
そのためには、先ず生徒会役員選挙に当選しなければならない。 皆も着々と準備を進めている。 悠理が助っ人に行ったバレー部は、異例の一回戦突破だったらしい。美童と可憐も校内で見掛ける姿はいつも取り巻きに囲まれ、そこだけはとても華やかだ。野梨子の囲碁大会は明日。清四郎をも負かす腕を持つ野梨子だ。きっと明日はいい結果が聞ける。清四郎だって真面目に論文を書き始めているのだろう。 俺だって「僕にとっても「お手並み拝見」というところです」と言った清四郎の期待を裏切るわけにもいくまい。まさか盗聴器まで造るハメになるとは思いもしなかったが、これはこれで楽しい。
短くなった煙草を灰皿で揉み消す。 ふ、と短い息を吐いた後、俺はドライバーを持ち直した。
ヒトリゴト 目指せピュア!・・・見事に撃沈で御座いました。野梨子以上に、魅録は難しかったです。 清四郎&魅録では会話が進まず、途中悠理を追加したら、単なる清×悠話に。 魅録サン好きー!な方へはちょっと根性少な目な魅録サンで申し訳ないです。
2006/10/09
素材:GreenTea
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