「何か面白そうな記事ある?」 「わきゃっ!」 可憐の読んでいた新聞を覗き込んだ美童の声に、可憐が突然首を竦めた。 「なによっ!耳元で急に声出さないでよ」 耳を押さえて叫ぶ可憐に、美童はニヤリと笑って見せる。 「へぇ〜、可憐の性感帯って耳?」 「妙な言いがかりは止めてよね!」 「おーコワ、女の子の日が近いと怒りっぽくなるのってホントだね」 「美童〜!いい加減にしないさいよ!」 「そうですわ、はしたなくてよ」 可憐をからかい続ける美童に野梨子が釘を刺す。魅録も妙な顔をして美童を見ていた。 「だから、何となく判るもんなんだって、相変わらず判らないのは悠理ぐらいだよ」 そう言った途端、悠理が飲んでいたお茶を噴出した。 「美童に判ってもらわんでもいいわい!」 ゲホゲホと咽ながらも吼える悠理の背中を隣に座っていた清四郎がポンポンと叩く。 「だって、本当に悠理だけは何も感じないんだよね」 美童がお手上げとばかりに肩を竦める。 「本当にわからないんですか?」 清四郎が美童に向けた何気ない一言に、皆がビタッと固まった。 ギギギ、と首だけを廻して、恐る恐る清四郎を見る。 「悠理は最近体温高そうですし、あと一週間程ですかね」 でしょ?と背中に手を置いたまま確認する清四郎の顔はいつもの顔そのもの。 明日の小テストの話でもするような、デリカシーの無さに、一同が唖然と清四郎を見詰めた。 「あ、ちなみに悠理の性感帯ですけどね」 悠理、ちょっと、と腕を引いて清四郎の正面を向かせる。怪訝な顔をしている悠理の顎から喉にかけて指を滑らせた。驚いて身を引いた悠理の腕は清四郎に掴まれたまま。逃げることは適わない。 サラリと繰り返される指の動きに、悠理がギュっと目を瞑った。頬がだんだんと上気してくる。 引き結んだ唇が歪み、睫毛が震えている。 そんな見たこともない「女」を感じさせる悠理に、満足気に微笑む清四郎。 「この辺だと思ったのは正解のようですね」 そう言って清四郎が皆を見ると、可憐と野梨子は魂が抜けたように2人から目を離すことが出来ず、魅録は真っ赤になって顔を背け、美童はやるね、と小さく呟いたのだった。
※無自覚にも程がある。
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