Sweet sweet *4

 

 背中に悠理が貼りついてきた。
「どうしました?」
「んーなんでもない」
「なんでもないってコトないでしょう」
「何となくだから、気にすんな」
「気にすんなと言われましても・・・」
背中に顔を押し付ける悠理が、すん、と鼻をすすった。
泣いているのか?
今日一日あったことを思い出す。誰かが何かを言ったとか、それに傷ついたとかいろいろ思い出してみるが、泣かなきゃいけないほどのことは無かったと思う。
それとも、自分の見えないところで何かあったのだろうか。
肩から腕を廻して、悠理がしがみついてくる。うなじに当たった頬が濡れていないことに安堵した。
「悠理、本当にどうしたんですか?」
「なんでもないよ、止めて欲しい?あたい邪魔?」
「別にいいですけどね」
振り返って悠理の顔を見たかったけれど、悠理はまた真後ろに戻ってしまった。
「清四郎の背中ってさ、時々無性に抱きつきたくなるんだよな」
悠理がくふふと笑う。付き合ってしばらく経つが、悠理からこういう言い方をされたことが無い。
「は?」
「あったかいしさ、好き」
身体に直接響く悠理の声、高めのアルトは普段の声とは少し違った。
「こっちのほうが温かいと思いますけど?」
身体の向きを変えて、悠理の身体に腕を廻す。顔を覗き込むと悠理は膨れっ面。
「お前、わかってないなぁ」
「何をです」
「後ろ姿に抱きつきたい時があんの!」
言った本人も恥ずかしいのか、さっと頬に朱が走る。可愛くて仕方が無いのはこういう処。
「だから、背中向けてて!」
「イヤデス」
悠理に廻した腕に、さらに力を篭めた。

 

 

 



※初々しさ玉砕。

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