Sweet sweet *5

 

 今回の試験は本当にマズかったのだ。
試験前にかぁちゃんに引っ張られて、香港。
いつもは、清四郎ん家に缶詰で勉強させられるのに、それもほぼ一夜漬けに近い状態。
「今回は僕も匙を投げますよ」
清四郎だってそう言っていた。
もちろん試験の結果は過去最悪。休み中の補講はほぼ確定だった。
まぁ仕方ないよな、あのかぁちゃんには逆らえないし。
今回はあたいも覚悟を決めた。追試でも補講でもどんど来いだ。
先公の説教と、休みの間の補講の日程を確認しに職員室へ来た。
頼んでもいないのに、なぜか、なぜか清四郎が隣に居る。
「悠理の勉強は僕が面倒を見ます」
「しかし、菊正宗君、今回の剣菱の成績は・・・・」
「大丈夫です、休み明けの実力テストは僕が責任を持ちますよ」
「責任と言っても・・・」
「僕に策がありますので、補講は課題に切り替えてください」
「菊正宗君がそこまで言うのなら、任せてもいいのかな?」
「ご心配なく。ほら悠理、行きますよ」
さっさと課題提出の話をつけて、あたいは一言の喋る間もなく、職員室を出た。
「明日から、僕の家で課題ですからね」
後ろに立つ清四郎をぐるんと振り返って見た。
「なんで、お前ん家?」
「何なら悠理の家でもいいですよ」
「違くてさ、あたい、今回は補講でもしゃーないって思ってんだけど」
「そんなに僕との勉強が嫌ですか」
凄みのある声に肩が竦んだ。額をゴンと小突かれた。
「最後の休みですからね、遊びたいでしょ?」
「遊べるのはそりゃ嬉しいけどさ」
休み中学校へ来て補講、休み中清四郎ん家で課題。
あたいにとっちゃ、どっちもどっちなんだけどな。
「僕もね、休みに悠理に会えないのは淋しいですから」
清四郎が小突いた額に手をあてる。
「へ?」
「わかってないみたいですね」
何をわかってないって?見上げた清四郎は小さく笑うと、そのままデコピンを繰り出した。
「いでっ!何すんだコラ!」
額を押さえて、睨んだあたいは一瞬固まった。そこにあったのは真剣な目。
あたいを追い越して、清四郎が歩き出す。
すれ違いざまに聞こえたのは、何?
「僕は悠理が好きですから」

 



※清×悠より 清→悠のほうが好みかも〜><;

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