今回の試験は本当にマズかったのだ。 試験前にかぁちゃんに引っ張られて、香港。 いつもは、清四郎ん家に缶詰で勉強させられるのに、それもほぼ一夜漬けに近い状態。 「今回は僕も匙を投げますよ」 清四郎だってそう言っていた。 もちろん試験の結果は過去最悪。休み中の補講はほぼ確定だった。 まぁ仕方ないよな、あのかぁちゃんには逆らえないし。 今回はあたいも覚悟を決めた。追試でも補講でもどんど来いだ。 先公の説教と、休みの間の補講の日程を確認しに職員室へ来た。 頼んでもいないのに、なぜか、なぜか清四郎が隣に居る。 「悠理の勉強は僕が面倒を見ます」 「しかし、菊正宗君、今回の剣菱の成績は・・・・」 「大丈夫です、休み明けの実力テストは僕が責任を持ちますよ」 「責任と言っても・・・」 「僕に策がありますので、補講は課題に切り替えてください」 「菊正宗君がそこまで言うのなら、任せてもいいのかな?」 「ご心配なく。ほら悠理、行きますよ」 さっさと課題提出の話をつけて、あたいは一言の喋る間もなく、職員室を出た。 「明日から、僕の家で課題ですからね」 後ろに立つ清四郎をぐるんと振り返って見た。 「なんで、お前ん家?」 「何なら悠理の家でもいいですよ」 「違くてさ、あたい、今回は補講でもしゃーないって思ってんだけど」 「そんなに僕との勉強が嫌ですか」 凄みのある声に肩が竦んだ。額をゴンと小突かれた。 「最後の休みですからね、遊びたいでしょ?」 「遊べるのはそりゃ嬉しいけどさ」 休み中学校へ来て補講、休み中清四郎ん家で課題。 あたいにとっちゃ、どっちもどっちなんだけどな。 「僕もね、休みに悠理に会えないのは淋しいですから」 清四郎が小突いた額に手をあてる。 「へ?」 「わかってないみたいですね」 何をわかってないって?見上げた清四郎は小さく笑うと、そのままデコピンを繰り出した。 「いでっ!何すんだコラ!」 額を押さえて、睨んだあたいは一瞬固まった。そこにあったのは真剣な目。 あたいを追い越して、清四郎が歩き出す。 すれ違いざまに聞こえたのは、何? 「僕は悠理が好きですから」
※清×悠より 清→悠のほうが好みかも〜><;
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