想いの伝わるホワイトデー

BY ちなな様

 

 

 (なんだかドキドキしますね…)

生まれて初めて準備したホワイトデーのクッキー。

1ヶ月、自分の気持ちを確かめた。

しかし、あの日気付いた気持ちは、確かめなくてもどんどん膨れ上がる一方だっ

た。

 

 

悠理がしたように、昼休みにクッキーを鞄に入れておく。

どんな反応をしてくれるだろう。

放課後の部室で、悠理に会うのが楽しみだった。

 

しかし放課後、悠理に変わった様子は見られない。

 

(気付いてないのか?)

そういえば、悠理の鞄の中はカラッぽだった。

教科書は、学校の机の中に置きっぱなしだったはず…。

 

カードも添えずに忍ばせたピンクの箱。

差出人が誰か…鈍感な悠理が気付くとは限らない。

 

でも、この想いは届けたかった。

ここでもはやる気持ちをグッとこらえる。

(カードくらい添えた方が…よかったですかね…)

 

 

気の抜けた清四郎は、いつもと同じように帰宅した。

何もする気になれない。

(どうやったら伝わるんでしょうね…)

 

ピンポーン

 

ルームウエアに着替えたところで、玄関のチャイムが鳴る。

バタンと玄関の閉まる音の後、バタバタと階段をかけ上がる音。

 

(…悠理か?)

清四郎がドアの方に行こうとすると、ノックもなく部屋のドアが開いた。

 

「ゆうり・・・」

 

悠理はドンと清四郎の胸に体当たりしてきた。

 

「あれ…せいしろ…だよ…な…」

悠理が恐る恐る声を出す。

胸にあたった悠理の体は小刻みに震えていた。

「気付いてもらえましたか…」

そういう清四郎の声も掠れていた。

 

しばらくの沈黙の後、悠理が小さな声を出す。

 

「ありがと…な」

 

「こちらこそ、チョコ美味しかったですよ」

 

顔を上げた悠理と目が合う。

笑顔を返してくれているが、瞳の奥には不安の色が混じっていた。

 

(僕の想いは…伝わったのか?)

 

悠理の不安は自分の不安でもある。

今まで確かめた気持ちを、口にした方がよさそうだ。

 

「悠理、僕は…

 

二人が想いを伝え合ったホワイトデー

 

 

 



 本当はもう少し先まで書く予定だったのですが…

清四郎君のセリフを妄想し始めると、キーボードを打つ手が止まりニヤニヤ妄想 の世 界へ…(←かなりアブない)

ふと我に返ると照れて赤面(←あっ変態だっ)

そんなわけで、まとまりのないものに…すみません。 押し付けてしまったフロ様、読んでいただいた皆様ありがとうございました。

 

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