白いシーツの波の上で、ふたりは重なり合うように朝の光りを浴びた。
清四郎は胸に上半身を預けている悠理の細い肩を抱きしめたまま、その髪に唇をつけた。
「今日は何をします?」
「何もしない」
悠理は清四郎の胸に頬を摺り寄せ、瞼を閉じた。
「何も。ですか?」
「うん、今日はずっとこうしてるんだ」
目を開けると、その大きな胸板と腕に指先を滑らせた。
清四郎はふと微笑み、柔らかいその髪に手を挿し入れた。
梳くように何度も優しく触れる。
悠理の手もまた、清四郎の身体を滑った。
「悠理、くすぐったいですよ」
それでも悠理は肩から腕に手を這わせ、何度も往復させている。
それはまるで、清四郎の存在を確かめているかのようだった。
「あたい、病気かもしれない」
「病気?悠理がですか?」
ぽつりと漏らした言葉に清四郎は少し驚いたように訊き返した。
「うん」
「どこが病気なんです?」
「全部」
「全部?」
「そう、全部。あたいの全部・・・」
「悠理?」
悠理は触れていた清四郎の腕を掴むと、大きな掌まで、指を滑らせた。
清四郎がその指先を握り返す。
「今こうしてお前を一人占めしてるのに、まだ足りない気がするんだ。もっとお前に触れていたい。もっとお前を感じたいんだ。そう思うと胸が苦しくて、お前とこんなに傍にいるのに・・・。こんなのおかしいだろ?」
「おかしくないですよ」
清四郎は悠理を抱きしめると、その髪に顔を埋めた。
「僕も足りない。どんなに抱きしめても、口付けても、もっと悠理に触れていたい。離したくない」
「ホントか?」
「あぁ、狂いそうなぐらいにね」
「ずっとこうしてろよ」
「もう離せませんよ」