自分達のベッドルームへ入ると清四郎は扉を閉め鍵をかけた。
悠理は眠いのか全く気付いていない。
ベッドへ向う悠理を後から抱きしめる。
首筋に唇をつけるとくすぐったそうに身を捩った。
「・・なんだよぉ。くすっぐたい・・。」
「悠理は僕のものです。誰にも渡しません。」
「どうしたんだよ、急に。もしかしてあいつにヤキモチ妬いてんのか?」
「そうですよ。だって僕は朝と夜にしか悠理に会えませんからね。
一日中悠理にべったりのアイツにヤキモチを妬いてます。」
「子供みたいなヤツだな。」
クスリと笑う悠理。
「・・・愛してる。」
「・・・あたいも・・・。」
悠理の身体を正面に向けるとその唇を己のそれで塞いだ。
頭を掻き抱き激しく口付ける。
舌と舌を絡める。
そのままベッドへと押し倒した。
「ん、、んん。せーしろぉ、あたい今日はもぅ、眠いよぉ。」
唇を離すと悠理はこれからの行為から逃げようとした。
「だめだ。今すぐ悠理が欲しい。」
清四郎は口付けると手を悠理の身体へと這わせる。
胸に触れると悠理の身体がびくりとなった。
その先端はパジャマの上からでもわかるぐらい硬くなっている。
唇についばむようなキスを繰り返しながら指でその場所を弄ぶ。
「身体は嫌がってないようですよ。」
意地の悪い笑みを浮かべ悠理の瞳を覗き込んだ。
「どうしますか。本当にこのままやめますか?」
悠理は赤い顔をしながら清四郎を睨む。
「お前ほんっと、意地悪いよな。」
「なんとでも。」
にっこり微笑むとパジャマを脱がせた。
「お前も脱げよ。」
悠理は清四郎のネクタイを外しにかかる。
清四郎は仕事から帰ってきてすぐだったので未だにワイシャツにネクタイのままだった。
「悠理、今日はちょっと違う事をしませんか?」
ネクタイを外し、シャツのボタンを外しかけていた悠理が顔を見る。
清四郎は、ベッドから降りるとアタッシュケースの中からアイマスクを取り出した。
少しでも休憩できるときには場所を選ばず寝れる様にといつも入れてあるのだ。
「な、何する気だ?」
アイマスクを見てなにか不穏なものを感じ取ったのか悠理の顔は引きつっている。
「何って。楽しい事ですよ。」
ベッドへと戻ると、悠理の眼にアイマスクをかけた。
「な、なんだよ。やっぱり寝るのかよ。」
「まさか。ここで寝るのにアイマスクはいらないでしょうが。
それよりそれ僕が言いというまで外さないで下さいよ。」
早くも外そうとしていた悠理を牽制する。
「ぐっ。なんだよぉ〜。何すんだよぉ〜。」
「まぁまぁ。」
悠理は顔が見えなくても、清四郎がものすごく楽しそうな顔をしているのが手に取るようにわかった。
そしてそういう時は必ずと言っていいほど自分がろくな目に合わないということも。
「や、やっぱ、あたい寝る。これも外すぞ。」
アイマスクを外そうとしたときだった。
両手を掴まれ何かを巻かれる。
あっという間に両手首を布のようなもので縛られてしまった。
「何すんだよ!」
「大丈夫ですよ。ネクタイをちょっと巻きつけただけですから。」
「何が『ちょっと』だよ、外せ〜。どーする気だよ〜!」
「こうする気です。」
相変わらず楽しそうな清四郎は、悠理の腕を頭上へ持っていくとネクタイをベッドにくくりつけた。
「何すんだよ〜!これじゃあたい動けないじゃないかぁ!」
悠理は腕をガンガン引いている。
「偶にはこういうのもイイでしょ。あんまり動かすと後が痛いですよ。」
清四郎は抗議を続ける悠理の口に口付けた。
自分の腕で頭を挟まれている悠理は顔を動かして逃げる事ができないでいる。
唸って唯一自由になる足をばたつかせる。
蹴られない様に悠理の足の間に身体ごと入れさらに深く口付けた。
次第に悠理の身体から力が抜けてきた。
顔を離すと悠理の頬はほんのり赤みを帯びてきていた。
首筋に唇をずらせていく。
右手で脇の下から大腿部までを何度も往復する。
悠理の身体に先ほどの熱が蘇ってきた。
右胸の頂きを甘噛みするとその身体が大きく波打った。
縛られた腕に力が入り、ネクタイが突っ張る。
吸い上げ舌で押しつぶし、転がしていると悠理の口から甘い溜息が漏れるようになった。
わざと音を立てて吸い上げる。
腕の自由と視界を奪われた悠理は、いつもより敏感になっているらしい。
身体を執拗に捩る。
「・・んはぁっ・・・・」
手は相変わらず滑らせたまま悠理の耳元へ顔を近づけ囁いた。
「どうです、いつもより感じませんか?」
「・・ば、バカなこ・・・・と・・」
「身体は正直ですよ。」
滑らせていた手を悠理の中心へと持っていった。
そこはすでにシーツを湿らせるぐらい蜜が溢れていた。
「ほら、こんなになっているじゃないですか。」
意地悪く言う清四郎。
「やぁっ、んはっ、そ、そんな事・・・言う・・な」
悠理は言葉も途切れ途切れになってきている。
指を動かすたびに悠理の腰が少しずつ上へと逃げる。
その腰を抱き寄せ顔を近づけた。
溢れ出る液体を舐めあげる。
ネクタイが音を立てる。
顔を離し指をその場所に入れるとすんなりと受け入れられた。
親指で蕾を転がし、中指と人差し指で中を探る。
悠理は自由にならない腕を動かし続けている。
「・・・やぁぁ、せーしろー、あたい・・も・・もぅ・・・」
眉間に皺をよせる悠理を見て限界が近い事を知る。
「一度、イクか?」
清四郎は指の動きを強め、身体中にキスを落とした。
ネクタイの音が止まる。
悠理の胸が上下に動く。
「大丈夫か?」
わずかに肯く悠理。
清四郎は悠理の視界を遮っていたアイマスクを外した。
突然視界が明るくなった悠理は、眩しそうにしている。
「今度は、一緒に・・・。」
清四郎はそう言うと悠理に口付けた。
唇を離すと悠理が、
「せーしろぉ、これも・・。」
と言って上を見る。
「これはまだ、ダメです。」
「・・・変態・・・。」
「そんな事を言うとこうですよ。」
清四郎は胸の頂きをキツク吸い上げた。
悠理の身体にもう一度波が起こる。
「ひやぁ・・・!」
清四郎は悠理の中に押し入った。
一度火のついた身体は圧力を加えながら徐々に受け入れていく。
「・・んはっ、動くぞ。」
清四郎は腰をゆっくりと動かした。
しかしその動きはだんだんと激しいものになっていく。
またネクタイを引っ張る音と悠理の息遣いが強くなっていった。
と、突然清四郎が動くのを止めた。
悠理はうっすらと眼を開く。
「・・・・せぇしろ・・・・?」
見ると清四郎の顔は、この上なく楽しそうな顔をしていた。
「・・何?」
悠理は快楽に溺れていたところを急に止められた上に、
清四郎の、こんなときにでさえもまたろくでもない事を考えていそうなその顔に眉をしかめた。
清四郎はそんな悠理にニヤリと笑うと、そのままの体制で悠理の細い左足を持ち上げた。
「えっ?」
悠理は気付くと反転しうつ伏せにされていた。
「ハイ、ハイ。足を曲げてください。」
楽しそうな清四郎はそう言いながら自分で悠理の足を曲げる。
悠理は、両手首をネクタイで縛って頭の上でベッドに括り付けられ、
うつ伏せのまま跪いてお尻を突き出すというなんとも言えない体制になった。
「せーしろぉ、やだ、恥かしいよー。」
結婚して数年も経っていて、今まで後からした事がないわけでもないのだが、
さすがに腕を縛ったのは今日が初めてだった。
『腕を縛られている』ということがいつもにはない羞恥心が沸き起こる様だ。
「この方が感じるでしょ。」
悠理に覆い被さるとその耳元でいつになく意地悪く囁いた。
そのまま返事を待たずに腰の動きを再開させた。
背中に口付け、跡を残しながら、右手で胸を揉みしだく。
悠理の足から力が抜け何度もシーツを滑る。
清四郎は左手で悠理の腰を抱きその身体を支えると、さらに腰を打ちつけた。
「や、やぁ、せ・・しろ・・。もぅ、・・あぁ・・・」
清四郎の息遣いもだんだん激しくなってきた。
「ゆ・・うり・・!」
ネクタイを引っ張る音がやんだとき、二人の身体も崩れ落ちた。
数日後・・・・。
悠理は最近、パ・・・アイツと口を利かない。
アイツは何かって言うと悠理に話しかけているけど、悠理は無視し続けている。
あんまりにもしつこいと最後は決まってこう言われてる。
「へんたい!」
ふっ、アイツ何かしくじったな。
僕の悠理に何かしようだなんてひゃくまんねん早いんだよっ!!
それにしても・・・・・、『へんたい』ってどういう意味だ?
アイツに聞いたらものすごい眼で睨まれた。
悠理に訊いたら「清四郎みたいなヤツの事を言うんだよ!お前はあんなやつになるんじゃないぞー!」って真っ赤な顔で言われた。
安心して悠理。僕は間違ってもあんなヤツにはならないからね。
今度野梨子おばちゃんか、魅録おじちゃん、あっ、それか可憐おねいさんか美童(呼び捨て)に聞いてみよう。
みんなならきっと教えてくれるはずだ、うん。