rival

僕が部屋に入ると悠理がソファで眠っていた。
読みかけの雑誌は胸の上から今にも落ちそうで。
僕は悠理に近づくとその雑誌を床に落とした。

あまりに気持ち良さそうに眠る悠理を見て僕もその横に寝ころぶ。
ソファに二人はちょっときついけど、その分悠理にくっつける。
悠理の体温でなんだか僕も眠くなってきた。
ウトウトしていたら、さっき僕が入ってきたドアが開いた。

「またこんなトコで寝てる。」
呆れたような声が聞こえた。
この声は・・・。
僕は舌うちしそうになった。
だけどそのまま寝たフリを決めこむ。

大きな手が僕の頭にゆっくり降りてきた。
コイツとは悠理を争うライバルなんだけど、
この大きな手はちょっと・・・好きだ・・。
でもやっぱりこいつはライバルだ。
だってほら・・・。

「ソファから落ちそうになってますよ。」
そう言って、僕を軽々と抱き上げた。
あぁ、せっかく悠理と一緒に寝ていたのに・・・。
僕はベッドへと運ばれる。

コイツはいつもそうなんだ。
僕と悠理が一緒にいると邪魔をしてくる。
そして悠理もそれを笑って見ているんだ。
悠理も悠理だよな、僕とコイツとどっちが大事なんだ。
今度はっきりさせなくちゃいけないな。

僕をベッドへ寝かせると、アイツは悠理の元へと戻っていった。
僕は閉じそうになる瞼を必死で開ける。
悠理にヘンな事するんじゃないぞ。
うつろな目でそんな視線を送ってみるが、全く気付かれていない。
ちっ。

アイツは悠理が眠るソファに腰掛けると、悠理の頬に触れた。
悠理も目が覚めたみたいだ。
その表情は・・・。
ちょっと待て。
僕は悠理のあんな顔見た事が無いぞ。
もしかしてアイツと二人でいるときはいつもあんな顔なのか?
アイツも悠理にはあんなに優しい目をしているのか?
僕は納得いかないぞ。
アイツ、いつもアレしちゃダメだ、コレしちゃダメだって怒るくせに。
そりゃ、さっきみたいに頭をなでてくれる時はちょっと優しいけど・・。
抱っこしてもらうと安心するけど・・。
でも、でも、あんな顔じゃないぞ。

ん?なんだ?二人がこっちを見てなにかしゃべっている。
やっと僕の視線に気付いたのか?
僕は寝てないぞ、寝てないぞ。
だけど二人はすぐにお互いの方に視線を戻した。
そして・・・。

くそ〜、やっぱりアイツは僕のライバルだ。




                             

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