銭形時宗に化け、城に侵入したルパン美童。 カリオストロ清四郎伯爵は、ルパンにまんまと落とし穴に落とされたグスタフとジョドーの写真を見て苦笑した。 「まんまと入り込んだか」 伯爵はふふんと鼻を鳴らし、 「お手並み拝見しようじゃないか」 と、笑った。 その頃、不二子可憐は秘かにカリオストロ城の秘密を探るべく、動いていた。 ふと、後ろから肩をつかまれ、不二子はびくりと体を震わせた。 「こんばんわ不二子ちゃん」 「ルパン?もうこんなとこまできちゃったの」 「仕事に熱中しているご婦人は美しいねえ」 「探しているのは花嫁さんの居場所でしょ」 「知ってるの?」 「教えてあげるけど、あたしの仕事の邪魔しない?」 「しないよ〜」 「北側の塔のてっぺんよ」 不二子は振り向き、 「とても入り込めないでしょうね」 と言った時、ルパンの姿はもうなかった。 「せっかちねえ…花嫁さんに近づくには餌付けがいちばんって教えてあげようと思ったのに…」 不二子は肩をすくめた。 北の塔に侵入すべく、ルパンは必死で屋根を登っていた… が、しかし、テニスやフェンシングが得意な彼では、力づくの屋根登りは辛い。 あの奇麗なお姫さんに近づくため、その一心で登った。 やっと頂上にたどり着き、ロケット弾で北側の塔へロープを渡すべく、ルパンはポケットを探った。 「あ、僕、煙草吸わないんだっけ…」 ルパンはライターを持っていなかった… 呆然と屋根の上に佇むルパン。 「なあ、あいつ何やってんだ」 天窓から顔を出していたクラリス悠理が、梯の下に立つ伯爵に振り向いた。 「さあ…ここに潜入しようとでも思っているんじゃないですか」 「なんで?」 「お前を助けるために」 「あたいを?」 伯爵はワゴンからバナナをもぐと、梯から降りたクラリスに投げた。 「なんであたいを助けるんだ?」 「あいつはあなたを、ロリコン伯爵にとらわれた可哀想なお姫さまと思っているんですよ」 「お前、ロリコンなの?」 バナナを食べながら、クラリスが首を傾げる。 「どこに同じ歳の女が好きなロリコンがいるんです」 「だよな〜」 クラリスは、ワゴンの食べ物を次々に口に詰め込みながら、 「あたい、逃げようと思えばこんなとこ、簡単に出られるぞ」 「そうですね。でも、逃げない」 「飯が美味いからな」 伯爵はクラリスをよしよしと撫でながら、 「それだけですか…クラリス」 と、クラリスの顎を指で持ち上げた。 「…おまえ、髭剃れよ…それ、すごくエッチっぽいぞ…」 「でも、好きでしょう?クラリスは…」 伯爵とクラリスの影が、重なるようにベッドに倒れ込んだ。 その頃、ルパンは… 「次元〜五右衛門〜不二子ちゃ〜ん、助けてよ〜」 屋根のてっぺんで泣いていた。 かめおさんのサイトで期間限定で公開されているもうひとつのカリ城です♪ |