Forty eight

  BY あき様



   
悠理が清四郎の書斎に(と、言っても元は悠理の勉強部屋)に入ると、一枚の書類が絨毯の上に落ちていた。
「片付け魔の清四郎が、珍しいな」と、思いつつ、悠理はその書類を拾い上げ、好奇心で、目を通した。

プリントアウトしたものらしく、「岩清水」「浮き橋」「しがらみ」と続き、最後は「理知らず」で終わっていた。
そして清四郎の手で、なにやら走り書きされていたり、2重線で消されたりしていた。

古風なタイトルに悠理は、「また、骨董趣味か?」と呟いた。

しかし、良く見れば「しめ小股」「達磨返し」「仏壇返し」とある。

「もしかして、格闘技の技?」
そう思った悠理は、走り書きされた文字を懸命に追った。
他人に読ませるために書かれたものではないらしく、読めないところが大半だった。
解らなければ知りたいと思うのが人間の世の常。悠理とて例外ではなかった。
まして、「悠理にはいまいち不評」だとか、「悠理にはまだ無理か?」などの書き込みが判読できてしまえば、負けず嫌いも手伝って、なおさら好奇心がそそられた。

悠理は椅子を引き机に向かうと、パソコンを立ち上げた。
以前、清四郎に教えてもらったとおりに、インターネットに繋ぎ検索サイトを開き、書類に並ぶ言葉を打ち込んだ。いくつかのサイトが引っかかったようだった。

とりあえず、1番上にあるサイトを開いてみた。
「げぇ・・・・」
目に飛び込んできた画像に、一瞬、悠理は固まった。
が、もともとの好奇心旺盛な性格が災いした。


清四郎が帰った時、悠理はソファで雑誌を読んでいた。
「ただいま。」
「お帰り。」
いつもの会話がなされ、清四郎は持ち帰った仕事に目を通すべく書斎に向かった。
一瞬、悠理の眉間に皺がよったのを清四郎は見逃さなかった。

机の上に一枚の書類があった。それを見て、清四郎にはピンと来た。
PCを立ち上げ履歴の確認をした。履歴の消去については、わざと悠理に教えていなかった。


小1時間ほどして清四郎が書斎から出てきた。
「仕事、終わったのか?」
「ええ。」
悠理は平静を装っているが、挙動不審なのが清四郎には手に取るようにわかった。

清四郎は悠理の隣に座ると、そっと抱き寄せ耳元で囁いた。
「予習もバッチリのようですし、『48手』全制覇行きますよ。」
「なっ!」
悠理が真っ赤になって清四郎を見た。

そこにあったのは「悪魔の微笑み」・・・・・・



今夜も悠理は眠れない。









チャンチャン♪


フロでっす♪あき様にいただいた、一周年記念作品です! お馬鹿部屋展示ご希望ゆえ、移動。(笑) 真面目に研究研鑽を重ねる清四郎くんがあまりにキュート!ふたりの身体能力なら、四十八手も可能だわねぇ。あきさん、ぜひ詳細に報告を・・・(鼻血)

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