結婚式に大司教に化けて入り込んだ美童ルパン。 魅録次元と、野梨子五右衛門がルパン人形とともに登場。 ルパンの人形が串刺しにされたのを見て、悠理クラリスは、 「すげ〜、こんなアトラクションがあったのかよ〜」 と大喜び。 だが、カリオストロ清四郎は、苦虫をかみつぶしたような顔で、 「せっかくの結婚式をだいなしにして…許せませんね」 と、怒りをあらわにしていた。 そこへ、ルパン人形がぼかんと爆発し、偽札が式場を舞った。 [気に入ってくれっかな、伯爵] ルパンの声がこだまする。 その時、伯爵の気がそちらへ向いたとき、ルパンが指輪をゲット。 ちゃっかり、クラリスの肩を抱いていた大司教は、実はルパンであった。 「へへへ、たしかにもらったぜ」 「あなたは、ルパン!」 きょとんとするクラリス。 「なんだ、お前?」 ルパンはすかさずクラリスにバナナを差し出し、 「ほら、ここにこんなに」 とマントをめくった。 ルパンのマントには大量のバナナが… 「うひゃ〜、美味しそう!」 思わず飛びつくクラリス。 むっとする伯爵に向かい、ルパンは笑うと、 「やかない、やかない、ロリコン伯爵。火傷するよ〜」 と言うなり、五右衛門と次元が花火を打ち上げる。 式場で繰り広げられる大花火大会に、クラリスは大喜び。 「クラリス、なんです、そんなバナナに吊られて」 伯爵が手を出したとき、クラリスを抱いたままのルパンが宙に浮いた。 式場の窓から逃げる二人。 後を追う伯爵。 可憐不二子は楽しげに実況中継をしていると、そこへ時宗銭形警官隊が突入。 式場は大混乱であった。 場面かわり、城外にに脱出したルパン、クラリス、次元、五右衛門。 五右衛門は、すでに息が切れている。 「大丈夫か」 「え、ええ。刀が重くて…」 それとなく五右衛門を庇う次元。 「たのんだぞ、次元、五右衛門」 「ああ、ここでくいとめる」 クラリスはバナナを食べながら、 「なんで逃げんの?」 「もっと美味しいものを食べるためさ」 ウィンクしながらのルパンの言葉に、クラリスは目を輝かせた。 ふと、頭の冠を取ると、まだ、肩で息をしている五右衛門にかぶせ、 「やっぱり〜、よく似合うよ」 と笑った。 それを見た次元とルパン、思わず、 「可憐だ…」 五右衛門は頬を赤らめ、うつむいた。 その仕草に、ルパンと次元の目がきらりと光る。 五右衛門の白い肌がほんのり赤く染まり、恥じらうような表情が女らしい。 バナナを口にしたクラリスより、ずっと姫という風情である。 「…次元、お前、五右衛門にあつい視線送ってない?」 「な、なんだよルパン、お前こそ…」 急に争い出した二人を見て、五右衛門は困ったような顔で、 「あなたたち、何を争っていますの?そんな場合じゃ…きゃっ」 言いさしたときも、ばんばん銃弾は飛んでくる。 「大丈夫か」 クラリスが五右衛門を庇うようにし、 「なんか、揉めてるみたいだから、あたい帰るな」 「お帰りになりますの?」 「ああ、伯爵が心配してるだろ。あたいが戻れば、攻撃は収まるからさ。心配すんなよ」 「お気をつけて」 「ああ、あんたもな。男には気をつけろよ」 五右衛門に手を振られ、クラリスは軽々とロープを伝い城に戻った。 「戻ってきたんですね」 伯爵は、クラリスを抱き留めると、額にキスをした。 「もういいだろ。撃つのやめてよ」 「ああ、そうですね」 伯爵の合図で攻撃はやんだ。 「食べ物に釣られるなんて…クラリスは僕と結婚するのがいやなんですか」 「そんなことないけど…あのバナナ、美味そうだったから」 「僕はバナナ以下ですか…」 伯爵はがっかりしたような顔をした。 クラリスは、彼のご機嫌を取るように体を擦りよせ、 「なあ、それより続きやろうよ。結婚式の」 「指輪を盗られましたよ」 「あたい、持ってきたぞ」 クラリスの手には指輪が輝いていた。 伯爵は嬉しそうに抱き寄せると、 「よくやりました。じゃあ、続きをしましょうか」 そう言うと、クラリスの耳元で、 「その後は、朝まで眠らせませんからね」 と、囁いた。 「美味しいもの、食べさせてくれる?」 「ええ、いくらでも」 クラリスは伯爵の腕に絡みついた。 「…ところで、どうして戻ってきたんですか?バナナを全部食べたからですか?」 「んにゃ」 クラリスは首を横に振ると、 「なんだか、あいつらお取り込み中だったみたいだからさ」 「ほう…ま、いいですね。他人事です」 伯爵はクラリスと城内へ消えた。 その頃、城の塔の上では… 五右衛門をめぐってルパンと次元のバトルが繰り広げられていた。 それを横目に、五右衛門は冠をかぶったまま、城を眺め、 (なんだかんだ言って、クラリスと伯爵はラブラブなんですわ。お幸せに) と、式の最中であろう二人にエールを送っていた。 |