悠理の毎日の習慣。

BY くらら様




悠理の毎日の習慣。
それは、夜に2回お風呂に入ること。

「悠希〜、風呂入ろう!」
「うん!!」

夜も8時になり、5歳になる息子と二人で夕食もすませ、テレビを見ていた悠理は、ソファから立ち上がった。
夫の清四郎は、毎晩仕事で遅いので、平日悠希をお風呂に入れるのは、数少ない悠理の仕事である。
清四郎とは大学卒業後、清四郎が剣菱グループに入るのと同時に結婚した。
高校の時は、ただの友人に過ぎなかった二人だが、高校最後の年の夏休みの少し前、何を思ったのか、突然清四郎が悠理の胸をわしづかみにした。
それ以来、お互いが意識するようになり、秋の終わりには仲間に内緒で付き合いだした。
その後、結婚、出産し、一人息子の悠希は、今5歳になる。

悠希とは、剣菱邸の3人の部屋にあるバスルームではなく、万作愛用のこの屋敷で一番大きなバスルームに行く。
このバスルームは大きくて、アケミやサユリのオブジェがあったり、百合子の好きな天使の噴水があったりして、悠希のお気に入りの場所だ。
「わぁ〜い!!」
洋服を投げ散らしながら脱ぎ捨て、悠希はいつものごとく、大きなバスタブに飛び込んだ。
「こら!風呂場を走るなって言ってるだろう?転んだら大怪我するんだぞ!」
悠理も叱りながら入って行き、シャワーを浴び始めた。
そして、悠希が遊んでいる間に自分の髪と体を洗ってしまい、悠希を呼び寄せた。
「悠希、洗うぞ。」
「うん!」
悠希を洗ってやり、二人でバスタブにつかると、悠希が言った。
「母ちゃん、父ちゃんは今日も遅い?」
「そうだなぁ、今日も会議だって言ってたしな。」
「せっかく、「パパとお風呂で遊ぼうセット」持ってるのに、なかなか遊べないよ〜」
「あれは、もっと小さい子が遊ぶものじゃないか?悠希はもう5歳だろう?それに、清四郎もお休みの日は、一緒に風呂に入って遊んでくれるだろ?それとも、あたしが遊んでやろうか?」
「嫌だい!「パパとお風呂で遊ぼうセット」は、父ちゃんとしか遊んじゃだめなんだ!!」
「それなら、また今度清四郎と遊ぶんだな。」
悠理は笑った。
「なあ、母ちゃん〜。父ちゃん、ちゃんと毎日風呂に入ってる?オレとしか風呂に入ってないんじゃね〜?」
「そんなわけないだろ?ちゃんと毎日入ってるよ。」
「母ちゃんは知ってるの?父ちゃんも母ちゃんが風呂に入れてやるの?」
悠理は真っ赤になった。
「ば、ば、ばか!何言ってるんだ!清四郎は大人だぞ?一人で入ってるよ。」
「ふ〜ん。」
「もうあがるぞ!んで、早く寝ろ。明日も幼稚園だぞ?」
「は〜い♪」


「悠理、ただいまかえりました。」
「あ、お帰り〜、疲れただろ?」
「悠希は?」
「ん、もう寝た。それより、ご飯は?」
「ええ、済ませてきました。」
そう答えながら、清四郎はネクタイを緩め、悠理の方を向いた。
「悠理、何してるんですか?お風呂に入りますよ。」
悠理は少し赤くなりながら、言った。
「あたし、もう悠希と入っちゃたんだけど?」
「知ってますよ、いつものことでしょ?」
清四郎はこともなげに答えて、悠理をバスルームにうながした。
そう、毎日悠理は2回お風呂に入っていた。
初めは悠希と、後は清四郎と。
悠希が言っていた、「父ちゃんも母ちゃんが風呂に入れてやるの?」は、たいして間違いではなかったのだ。 悠理はすこしためらって、今度は自分たちの部屋のバスルームに向かった。
清四郎はすでにシャワーを浴びて体を洗っていた。
「ちょっと、悠理、電気を消さないでくださいよ。」
「やだ、あたしが入るまで、ちゃんと目瞑ってて。」
「全く。いいじゃないですか。もう何年も毎日一緒にお風呂に入っているのに、今更恥ずかしがらなくても。」
そういいながらも、清四郎は両手で目を覆った。
「これでいいですか?」
「うん。」
悠理は清四郎が目を瞑っている間に、さっとシャワーを浴び、バスタブに入ってしまった。
「もういいですか?」
清四郎が聞くと、
「いいけど、こっちを見るな。」
「はい、はい。」
清四郎は残りの体と髪を洗い、悠理の入っているバスタブに身を沈めた。
暗闇の中、うつむいている悠理を後ろから抱き寄せながら、清四郎は耳元でささやいた。
「こんなに暗くちゃ、何も見えませんよ。一体いつになったら、電気をつけてお風呂に入ってくれるんです?」
「ず〜っとやだ。恥ずかしいじゃないか。」
「今更、裸を見られるのがはずかしいもないでしょ?僕の子供まで産んでいるのにこの人は。なんでベッドでは平気でお風呂はだめなんです?。」
くくっと清四郎が笑った。
「風呂は絶対だめだ。これからもだめだ。」
「いつか電気をつけてもらいますよ。」
清四郎は口付けた。

悠理の毎日の習慣。
それは、夜に2回お風呂に入ること。








End


♪あとがき♪
 
みなさま、はじめまして。くららです。今回、フロ様のご好意で、わたしのサイト開設のご挨拶、プレオープンを兼ね、こちらに投稿させていただきました。今後ともよろしくお願いしますv
長老さま方のなかには、すでに我がサイトにお越しいただいて、ご存知の方もおられるはずですが、私、サイト開設準備中にSSを20本近くぶっ飛ばしてしまいました(泣)
そんなわけで、サイトオープンするのに、SSが1つ2つしかない状態では、やはりまずいかと、SSのアップを控えています。
手書きのネタ帳とかすかな記憶を元に何とか書き直して、せめて5本ぐらいに増えたら、店開きしようかと思っております。というわけで、私のサイトのSSはもうしばらくお待ちください。

さて、このSSですが、(削除を免れた、貴重な1本です)以前こちらのキリリクで、私がいただいた、「君に胸キュン」をもとに、数年後の二人を書きました。
なんてことのない、日常のひとこまですが、実は、この話には、モデルがいます。
あまりにも面白かったので、ちょっと話を変えて使わせてもらいましたv

今後、この前後の話を書いていこうと思っています。
これからよろしくお願いしますm(_)m


フロでっす♪くらら様は、222222キリバンゲッターの有紗様ご当人です。清×悠らぶらぶ夫婦&息子、というリクを、ものの見事に外して”もみもみ” (爆)と化してしまったキリリク小説にめげず、こんなにカワユイ妄想を展開してくださいました!
サイトもオープン秒読み段階。とっても楽しみですv くらら様、これからもよろしくお願いいたします。
しかし、「長老」って・・・(笑)まさか、まだ一歳の私はそこに 入ってませんよね?ね?

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