「indimenticabile」

BY 樹梨様

 

「かれ〜ん、言われてた、あたいのテンガロンハットを持ってきたよ〜」

「ありがとう、次の新作ジュエリーのポスター撮影にこの帽子が合いそうなのよ。前に悠理が被っているのを見て、これだわ!!!って思っていたの。助かるわ」

といって、ケースから取り出した帽子を2人で見ていると、

「いい形だなそれは」

「えへへ、魅禄もそう思う?テンガロンはいっぱい持っているんだけれど、なかなかよいものが無くって、生地から選んで作ってもらったんだぁ」

といって、悠理が被って見せる。

ふわふわとした髪に軽く被ったしっかりとした形の帽子が悠理の中性的な魅力を際立たせている。

 

野梨子は、煎れ立てのコーヒーを配りながら、

「悠理と魅録は帽子が好きですものね、それに似合いますし」

 

「野梨子は、どっちかというと帽子よりリボン派だものね。僕の場合は、帽子姿が似合うってみんなに言われるんだよね」

といって、流し目スマイルでつぶやく。

 

「はいはい、世界の恋人は何でもこなさないとね///私はこのウェーブがこわれるからかぶらないわね」

と言って、豪華なウェーブをすくい上げながら言った。

 

「そういえば、清四郎もかぶったのをみたことが無いわ?」

新聞から目を離さない清四郎に向かって可憐が投げかけた。

 

深い意味の無い言葉だったが、清四郎はなぜだか少し赤らめた顔をしながら

「頂き物の帽子が1つだけあります。しかしその帽子も被る事はありませんが・・・」

といって、また新聞に目を落とした。

しかし、新聞の記事など、少しも目には入ってこない。

 

・・・・・・その帽子はあのときに、悠里にもらった帽子なんですよと言ったら、驚くでしょうな。

いえ、たぶん覚えていないでしょう。

僕にとっては、大切な物だけれど、おまえにとってはたくさんあるうちの1つだから・・

(あたい、これから踊ってくるから、これ見といてくれないか?)といって、投げてよこしたんですよ。

踊っている姿が本当に綺麗でキラキラと光っていましたね、おまえは。

そのときに、野梨子との関係が変わっていたのが、こちらから見ていて手に取るようにわかりましたよ。

そのあと戻ってきて

(さすがせいしろ〜だね。ずっと持っていてくれたんだ。さんきゅ!!そぉだ、)といって、

(まっすぐかな?う〜んとこの角度かな?)で僕に被らせてくれたんですよ。

(やっぱ、このぼーしは、せいしろーのほうが似合うから、やるよ!!)

とこぼれんばかりの笑顔で言ってくれたのですよ。

僕達の関係も、そのときから変わったのですよね。

あんなに自然に僕の名前を言ってくれたのもあの帽子が、あったからですね。

 

 

「そんなに嬉しい記事がありますの?」

と言いながら野梨子が、煎れ立てのコーヒーを清四郎の前に置く。

「いえ、特には・・」

と、顔をあげると、魅録と帽子談議に花が咲いている悠理に視線が泳ぐ。

 

 

 

 

そんなに顔に出てしましたか?

どうも、悠理のこととなると、理性のコントロールが甘くなるみたいですね。

気を付けているつもりなんですが・・

いつ、帽子のことを言いましょうか。

もう少し、おまえと僕とのサークルが小さくなるまで、もう少し待ちましょうか。

ここまで、時間をかけたんです。長期戦で行くとしましょう。

しかし、本当に魅録とは何でも話が合いますね。

あぁ、だんだん悠理のしっぽのパタパタが見えてきましたよ。

どうも魅録と話をしている時にあのしっぽはよく見えますね。

 

清四郎の顔色が変わると同時に、握られていた新聞紙のぐしゃと言う音が聞こえた。

 

 

その時に、こそこそとなにやら2人。

「あぁ〜あ!!気持ち悪いぐらいの微笑みから一転、魅録へ刺の含んだ視線を送っているよ。」

「いつからかしらね、清四郎の悠理への感情の変化が見られたのは?」

「僕は始めてあったディスコのときに、なんとなく感じていたよ。」

「え〜、そうなの?気が付かなかったわ!!!私なんて最近よ。でも、考えてみれば思い当たる節はあるわね。」

「ね、そうでしょ。でもなんだか清四郎の動きって獣がじりじりと獲物を追い詰めていく感じがするね。」

「じゃあ、清四郎の手に落ちるのも、もうすぐかしら?」

「うん!そうだと思うよ。」

「お釈迦様と孫悟空がどう変わるのか・・・」

「「ほんと・・楽しみね(だね)!!」」

 

 

 

 

 

 

 

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あとがき

フロ様のサイトを見つけてから約2ヶ月、有閑倶楽部の世界にどっぷりと浸かってしまいました。

そして何を思い立ったのか、学校の読書感想文ですらまともに書けない私が、生まれて初めてのSSを書いてしまい、熱病を患ったかのように我を忘れて、フロ様に読んでもらおうと献上するという恐れ知らずの行動に・・・それなのに、聖母マリアのようなお慈悲で載せて頂けるとは・・・

今回は原作の小さな出来事が萌えの始まりだったのですが、妄想が四方八方に飛び散ってなかなか固まらず、そのうえ何とかメンバー全員を出すには、どうすれば??と無謀なことを考えてしまったのがこの作品。しかし貧弱さが目に付いて、穴を自ら掘って隠れてしまいたい気分です(恥)

でも、これからも何を見ても、何を聞いても、有閑のメンバーならどうするかしら?清×悠なら何をする?と自動変換装置をしっかりと身につけてしまった私を、フロ様そして皆様どうか見捨てないで〜 

 

 

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