「君がいるだけで」

BY にゃんこビール様

 

覚えていますか?

はじめて出会った日のこと。

僕はこれからはじまる毎日に心膨らませて桜の花が咲く

幼稚舎の門をくぐったのに。

お前ときたら僕をからかって、挙げ句の果てに野梨子とつかみ合いのケンカ。

あのときのおまえの一言で僕は強くなろうと決心したんです。

それからの毎日、おまえのことが気にならない日はなかった。

学校は世間知らずのご子息・ご令嬢ばかりなのにおまえときたら自由奔放。

そんな自由なおまえはみんなの憧れのまとだったんですよ。

出会ってからやっと中学3年で同じクラスになりましたね。

僕はこれから一年間、いったい何が起こるか期待と不安でいっぱいでした。

おまえとクラス委員なんてやれたことは偶然とはいえ、心落ち着かなかった。

おまえは僕が想像していることを見事に裏切る。

なにをやり出すか見張ってなきゃならないから大変だった。

でもこれが楽しくて仕方なかった。

魅録や美童や可憐と出会って、仲間になれたのはおまえのおかげかもしれない。

あれから事件に巻き込まれたり、事件を起こしたり、当時は大変だったけど

振り返れば毎日が退屈してなかった。

おまえと出会ってなかったらきっと平凡な毎日だっただろう。

きっと僕が何事も人には負けないようにしていたのはおまえのためだったかもしれない。

おまえの勉強の面倒は誰にもさせたくなかった。

おまえが危険にさらされたときは真っ先に助けに行った。

あの桜の木の下でおまえに出会った瞬間から、僕は心を奪われていたのかもしれない。

目の前に大切なものがあるということに気が付くまで何年もかかってしまったけど。

あれだけ冷血漢だの、情緒障害だの、情が薄いだの、散々仲間に言われた僕が

こんなにも穏やかで、優しい気持ちになれること。

こんなにも人を愛することができたこと。

すべておまえのおかげかもしれない。

おまえがいるだけで僕に不可能にことはないって思える。

僕がこんなにおまえを必要としているなんて、気が付いてないんでしょう。

僕がこんなにおまえを大切に想っているか、知らないでしょう。

そんな幸せそうな顔してうたた寝して。

悠理が見ている夢のだって僕のものですよ。

いつでも、いつの時も、僕たちはいっしょなんですから。

 

 

 

  あとがき

  これは学校も卒業して→清四郎が悠理にプロポーズして→
大照れのOKもらって→休みの日に日向ぼっこしながら→
昼寝を始めた悠理を見て→思い出に浸っている幸せな清四郎!
最後は相変わらず自信家に拍車かかっちゃってますが(笑)

 

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