「おはよー母ちゃん、あれ?珍しいな。兄ちゃんもいるんだ」 「おはよう悠理」
剣菱家の食卓には万作以外の家族が珍しく揃っていた。 豊作はいつものビジネススーツ。 母百合子はゆったりしたレモンイエローのワンピースを着ている。
今朝のメニューはイギリス式。 イギリス帰りの百合子夫人が子供達にお土産の一部として用意させたものだ。 悠理はいつもと少し系統の違う朝食に目をきらきらさせている。
デニッシュ・ペストリー、ヨーグルトにシリアル
チーズ、生ハム、卵、ドライスモモ、新鮮な果物にケーキ 果物のコンポートとフルーツサラダ 果物ジュース それに様々な暖かい飲み物
が用意されている
「わぁ!うまそ〜♪♪」 「悠理、せめて美味しそうと言えないのか?」 兄の豊作がたしなめる。 「いいじゃん、別に」 悠理はべっと舌を出す。
「−−とにかくお座りなさい」
何やら機嫌の良い百合子に言われ、悠理はすとんと席に着いた。 座って正面へふと視線を向けた瞬間、その目を見張った。
「おはようございます。悠理」
そこにはきっちり制服を着込んだ清四郎が笑顔で紅茶をすすっていた。
「−−何で清四郎がここにいんだよ???」 悠理は座ったまま呆然とする。
「あら、お前が迎えを頼んだんでしょ?いつも悠理の我が儘に付き合わせて、悪いわね。清四郎ちゃん」 「いえ。僕は毎日でも構いませんよ。むしろ歓迎します」 にっこり笑顔で百合子夫人に答え、さらに百合子の機嫌を良くしていく清四郎に悠理は顎が外れそうになった。
(………母ちゃんに取り入ったな〜!!) ちらりと横目で兄の豊作を見ると兄は清四郎と悠理を見比べながら目尻をナプキンで拭っていた。
「…兄ちゃん、何やってんだよ」 「悠理、良かったな。兄として、本当に嬉しいよ」 豊作は小声でそう言った。
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せっかくの贅を尽くした朝食を素晴らしいスピードで詰め込むと、悠理は万作を探しにかかった。 だだだっと廊下を走り周り、リビングや畑がある庭を見回す。
「−−とうちゃんは?!」 執事の五代を見つけて叫ぶ。
「若は、茶室でございます」 「…朝っぱらから、なんで茶室なんだよぉ〜」
登校時間まであとわずかしかない。 悠理は、茶室までの移動時間を考慮し、携帯から万作へ電話を…と思った瞬間、目の前の五代も目頭を押さえているのが目に入り嫌な予感がする。
「五代…何泣いてんだ?」 おそるおそるたずねると五代はキッと表情を改め、悠理の手を握った。 「嬢ちゃま、じいは嬉しゅうございます!。これで剣菱家も安泰!。嬢ちゃまもきっと、幸せになれますぞ」
悠理の頭の中でカーン・カーンと鐘の音が鳴り響いた。
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登校するために乗り込んだ車の中でも清四郎は上機嫌だった。
「…お前、母ちゃんを丸め込んだな…」 悠理はぶすくれている。
清四郎はへっと唇の片方をあげ、笑う。 「おや、人聞きが悪いですな。僕は何にも言ってませんよ」 「嘘つけ!じゃあなんで、みんなあんなに喜びいさんでんだよ!!…とうちゃんなんか、朝から茶室にこもって絶対、ご先祖に何かの報告してるんだじょ!」 悠理はぶりぶり怒っている。
「…嫌なんですか?悠理」 清四郎がふと真剣な目になって悠理を見つめる。 怒りの勢いをそがれ、悠理がうっと口ごもる。 (くっそー!こいつのこの目と口調にいつもだまされるんだ!!今日は信じないぞ!!)
悠理の無言の反発に清四郎はふっとため息をついた。 「僕はただ、”今日から何日か悠理を迎えに来ます”と言っただけですよ」
悠理は疑わしい目を向ける。 「…それがなんで、あんな大歓待になるんだよ」
「剣菱のおばさまが”できるなら清四郎ちゃんには毎日でも来て欲しいわ”って言うから、”悠理がいいというなら僕の方は喜んで”とお答えしましたけど」
「−−やっぱりいってんじゃねぇか!!!!」
「僕の本心ですから」 清四郎は悠理に向かってにっこり微笑む。
悠理は車のシートにへたり込んだ。
正面にはニコニコ顔で黒いしっぽの清四郎。 こいつがこんな様子をしてるときは、まともにぶつかったって無理だ。 悠理は今までの付き合いからそう学んでいた。 おまけに、父ちゃん、母ちゃんまで抱き込まれたらあたいに勝ち目なんかないじゃないか!!!
(なんだったんだよ!昨夜のあの切なそうな様子は!!) (美童となんか話し合うんじゃなかったのかよ!!) (…あたいの気持ちは…どうなるんだ??) (…いや、確かに清四郎があたいと結婚したら、とうちゃん、母ちゃん、兄ちゃんだって大喜びだろうけど…) (こいつとこのまま…なし崩し的にそうなったら…あたい、死ぬまで振り回されるんだろうなぁ…)
悠理がこの状況にへたり込んでいる間に車は学校の降車場へ滑り込んだ。 清四郎はいつもの様子で、悠理の腕掴んで引き起こす。
「ほら、つきましたよ!しゃんとしてください」
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午前中の授業が終了し、悠理と魅録の教室入り口に並ぶ、女生徒達から豪華弁当の差入れを受け取りつつ、悠理は時計をちらちらと眺めていた。
(今日は金曜日だし、このままふけちまってもとりあえず日曜の夜までは平気だよな…) (このまま…清四郎にペース掴まれたまま家になんか帰ったら、勝手に式の日取りまで話しを進められちまうに決まってるんだ) 悠理の額には斜線が入っている。
「なんだよ、悠理、腹でもこわしてんのか?」
いつもなら山ほどの弁当を前にほくほく笑顔のはずの悠理がどよーんと突っ立っているのをみて、ピンク頭が声をかける。
「ほら、飯食いに部室、行こうぜ?」 悠理は、声をかけてきた魅録と一瞬視線を合わせ、ため息をついた。
「…あたい今日はやめとこっかな…」
普段は誰よりも元気のいい悠理から消極的な台詞を聞くとは思わなかった。 魅録は、先に進んでいた足を止め、振り返る。
「悠理?」 「魅録ちゃん…あたい、今日はやっぱし…」 悠理が弁当を両手に掲げたまま、魅録を見上げた瞬間、
「「悠理!!」」
どどどどと…廊下を走る音と共に、二人の男の声が小さく聞こえた。
魅録が廊下を覗いて顔を引きつらせる。 「なんだよあいつら、二人揃って徒競走かよ?」
廊下の一番端から走ってくるのは美童と清四郎。 周囲の生徒達の視線を釘付けにしながら、まっすぐ悠理目指してほとんど全力疾走だ。
悠理は弁当を傍らの机にすべて置いた。
「魅録!あたい、今日は消える!わりいな!」 「へ?悠理?」
悠理は自分の手荷物を背負うと教室の窓からベランダへ飛び出した。 そのまま、ベランダの柵をするするつたって、1つ下の階の日除けに飛び降りたようだ。
「わ!バカ!アブね!!」 魅録は何やら分からなかったが、走り込んでくる奴らから本気で逃げようとしている悠理を同じルートで追いかけていた。
********
(………………………)
昼休みに悠理の教室へ走った二人の男はその日の放課後、部室内でへたり込み、女性二人は困惑していた。
他生徒には事の真相はまったく分からなかったものの、学園の人気者が2名揃って”悠理”の名前を叫び、通常ありえないスピードで学園内の廊下を全力疾走してのけたのだから。
しかも、本気の徒競走ペース。
運動能力は極めて高い二人が真面目に張りあったのである。 生徒達の興味を引かない方がおかしい。
当の”剣菱悠理”は同時に3階のベランダから大脱走。 それを全力で追いかけて消えていくのは学園内、前代未聞のピンク頭。松竹梅魅録である。
盛り上げるのは前日も男二人による派手な”悠理争い”が繰り広げられたことだ。 悠理ファンの女生徒の中には知恵熱を出して寝込むものまで現れた。
(悠理様をめぐっての4角関係ですの?!) (まあ、でも走って来るお二人より魅録様の方がお早かったんですもの、勝敗は魅録様にありですわよね) (いやですわ!美童様が魅録様に負けるなんて事ありえませんわ) (いえいえ、菊正宗様こそ…)
がやがやがやがや…
部室のドアの外ではどうしようもない好奇心に突き動かされ、多くの女生徒(一部男子)がひしめき合っていた。
「…あんたたち、何馬鹿なことやってんのよー!」 可憐が机に突っ伏している美童とソファーで呆けている清四郎を見比べながらいう。
が、どちらからも反応はない。
野梨子がドアの方を見て、ため息をついた。 「…何があったか分かりませんけれど…このままじゃこのドアから下校するのは時間がかかりそうですわね」
「ちょっと美童!清四郎!あんた達、呆けてる場合じゃないでしょ?!何があったのよ!説明しなさい よ!」 可憐が二人の頭上から叫ぶ。 「なんで悠理と魅録は3階の窓から逃走しちゃうわけ?!」
「僕には…もう悠理が、わかんない」 美童がか細い声で言った。 「何??何でわかんないの?」 可憐が美童の隣に回って続きを促す。
(あんなに素敵なキスを交わしたのに、翌日には清四郎と登校してきて、魅録と逃走…。僕って悠理を知らな過ぎるのかな?実は悠理が一番手強い女だったって事なのか??)
「………………………」 美童は突っ伏したまま頭を左右に力無く振る。
「もう!なんなのよ〜!!」 可憐は美童の頭を軽くこずく。
「…美童を責めないでください。」 その時、清四郎がソファーに座り直してうめいた。
「悠理が嫌がることをしたのは僕です。多分、悠理が逃走した理由も美童ではなくて、僕なんです」 「だから、何をしたのかって聞いてるんでしょ?!」
(悠理の性格上、ここまでの事をする以上、しばらく行方不明…になるんでしょうね) (今の状況で美童と消えられるのも困りますけど、魅録と二人でっていうのも…) (…厳しい事になるかも知れませんね…)
怒る可憐には答えず、清四郎は頭を抱え込んだ。
野梨子は昼休みの騒動から何度も二人の携帯を鳴らしているが、電源が切られていることを確認するだけだった。
********
3階から大脱走した悠理を追いかけて、魅録は心臓がやぶれそうな程、走って走った。 なんでこんなに走らなきゃいけないのかも分からなかったが、万が一見失ったら、瞬発力の神が降りたかのような悠理には絶対に追いつけない事を魅録は知っていた。
魅録の限界が近づいた頃、ようやく疲れたのか悠理は目の前のたタクシー乗り場でタクシーを止めた。
車に乗り込んだ悠理を強引に奥の座席へ押し込んで、魅録は自分も乗り込む。
「−−魅録!?」
追いかけられていることすら気付かずに走っていた悠理は、目を丸くした。 「おま…ぜーぜー…だめ…まだしゃべれな…ひー…(なんちゅう走り方すんだよ)」 魅録がシートにもたれてキリキリ痛む肺をさすっている。
「お客さん、−−どちらまで?」
タクシー運転手に尋ねられ、悠理はちらっと魅録を見たが 「−−東京駅」 そう指示した。
駅に着くなり、「着いて来るな!帰れ!」と怒鳴っても、威嚇しても無視を決め込む魅録に焦れた悠理は 「勝手にしろ!」 そう言って黙りこくり、新幹線のチケットを購入しに急いだ。
魅録はぴったり側に張り付き、窓口で 「大人2名」と付け足した。悠理は困った表情をしたが、もう返事もしない。
行き先も考えず、一番出発時刻の早い新幹線に飛び乗り、到着した先は博多だった。
さすがの悠理も5時間の長旅の間中黙りこくっているわけにはいかず、魅録の尋問にぽつりぽつりと口を割っていた。 何やら肝心な部分は何度聞いても返事はないが、真っ赤になってうなる悠理に魅録も察しを付けないわけにはいかなかった。
(…美童も清四郎もなにやってんだよなー) 魅録には、クエスチョンマークと感嘆符を飛ばし続ける5時間となった。
「…さみぃな…」
昼過ぎの新幹線に飛び乗って5時間。到着時刻は午後5時を回っており、秋口の空はすでに暗くなりかけていた。 ぶるぶるっと身体にふるえが来る。 博多駅の改札をくぐり、駅構内「デイトス」の適当なブティックで二人して服を購入した。
「とりあえず、どっか泊まり確保して着替えなきゃな。制服のままじゃ家出中のバカっプルにしかならねえぞ…。俺もこんなとこまで来て補導されたんじゃ親父にどやされちまう」 魅録は周囲を見回して苦笑する。 「ん。…東京駅で現金降ろしてきたから、適当に入るぞ。…いっとくけど、剣菱とは全然縁のないとこ泊まるからな」
悠理にしては用意周到である。 魅録はちらっと悠理を見て言う。
「俺とお前じゃ成人には見えないだろうから、有名ホテルは剣菱系列じゃない限り、チェックインも面倒かも知れないぞ?泊まりの格、落としても平気か?」
生まれついての環境の元、当たり前に高級ホテルしか利用しない悠理である。 ビジネスホテルの狭さなど、しらないだろう。 魅録が訊ねると、悠理は顔をあげた。
「…考えてなかったな。…そっか。あたいは剣菱の娘だから、父ちゃんのホテルはフリーパスなんだもんな…。いいよ。どこでも。とにかくあたいの痕跡がどこにもつかないようにしたいんだ。…チェックインは嘘書いたらばれるのか?」
魅録も悠理を見た。
「…ビジネスクラスなら大方ばれねえさ。あとはカプセルホテルだな。……つまんねえ嘘もつかなくて済むのはラブホだけだぜ」 魅録は純粋に”痕跡がつかない方法”を並べただけだった。
が、悠理は目に見えて硬直した。
いつも当たり前のようにつるみ、連れだってツーリングにだって出掛ける二人である。 寝袋や毛布をわけあって雑魚寝した事だって何度かあるはずなのに。
(よっぽど怖かったんだろうな…)
魅録は悠理から聞いたかぎりの話しを思い返し、悠理の頭をぽん!っと叩いた。 「心配すんなよ。シングル2部屋とって、ビジネスに入ろうぜ。見ろよ、この辺ビジネスホテルだらけだぜ。集客に必死で俺らが入り込んだってばれるどころか歓迎されるさ」 努めて明るく宣言すると悠理はうなずいた。
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念のため、駅構内のトイレで私服に着替えはしたが、年齢を偽ってチェックインするのは簡単だった。
前払いで料金を納めてしまえば特に怪しまれる事もなかった。
「うわ!すげー狭い!!」 悠理は鍵を開けて、室内に入り、違う意味での歓声をあげた。
6畳程のスペースにシングルベッド、鏡台と椅子、壁際の棚の上にはTVと電気ポット。 壁紙もよく見ると上部が剥がれかけていて汚らしい。
バスルームを覗くと、不自然な形(変形三角形のような)の小さなユニットバスがはめ込まれ、シャワーカーテンで仕切ったすぐ横はトイレになっている。 「すげー!!なんだこのバスは!」
初めてみるビジネスホテルの狭さと変な形のユニットバスに悠理がガハハと笑っているところへ、魅録が入ってきた。 「お前なー。…あぶねえから部屋入ったらドアくらい閉めろよ。どんな奴がいるかわかんねえんだぞ?」 「だって、隣の部屋はお前だろ?すぐ出るんだから、いいじゃん」
置く荷物もないので、それぞれの部屋に制服だけ置いて、外へ出る。
長袖Tシャツに渋めのナイロンコーチ、コーデュロイのカーゴパンツに同系色のCAPをかぶった魅録と似たようなファッションの悠理。街に溶け込んでしまえばそう簡単に探し出せはしないだろう。
悠理はやっとうっすら笑顔を見せる。
「とにかく、何かくおーぜ」 「おう、博多まできたら、やっぱラーメンか?」 「ラーメンはラスト!あたいも屋台には行ってみたい。けど、その前にどっしりしたもん食いにいこうぜ!昼飯食ってないだろ?」
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その夜遅く百合子に呼ばれ、清四郎は1人剣菱邸に出向いていた。 自分が追いつめたせいで悠理がいなくなったことを問われる事を覚悟した。 もちろん、夕方の時点で昼間の出来事は報告してある。このまま失踪になった場合、捜索しなくてはならないのだから。
ところが、着いてみると上機嫌の百合子夫人はこういった。 「心配しなくてもいいわよ。あの子は魅録ちゃんと博多にいるわ。」
「博多?!−−悠理から連絡があったんですか?!」 清四郎は思わず声をあげる。
「いいえ。魅録ちゃんからよ。悠理と”シングル二部屋とってビジネスに泊まるから”心配しないでくださいって」 ほーっと清四郎の力が抜けた。
「…すみません、僕は悠理を追いつめてしまったようです」
完全に落ち込んでいる清四郎を前にくすくす笑いながら百合子は言う。 「(魅録ちゃんの話しだと)−−そんなこともないみたいよ」 「え?」 清四郎は顔を上げる。
「ねえ、清四郎ちゃん……あなた本当に悠理のことが好きなの?」
百合子は微笑みながら質問した。 清四郎はまっすぐ見つめ返してうなずいた。
「…悠理には嫌われてしまったかも知れませんが…僕は…本気です」
「それなら、ヘリ飛ばしてやる」 奥の部屋から万作が出てきてびしっと告げた。
「え?」 清四郎は目を見張る。
「悠理が清四郎君の事をどう思ってるかは…悠理の口からきかねーとわからねー。が…男がうじうじしてるのが一番良くない結果になるだよ!おめも男ならあきらめるか、飛んでってものにするか、どっちか一つにしろ!」
自分の娘をものにしろ、というのもいかがな発言かと思わず清四郎は思うが、心はふっと軽くなった。
「そうねそうした方がいいわ。…自分の娘だけど、悠理ですからねぇ…時間を空ければ開けるほど、こじれるだけだと思うわ。あの子単細胞だから」
「ありがとうございます!」 清四郎が表情が完全に吹っ切れたものに代わるのをみて、百合子は付け加えた。
「−−恋はね、生ものなのよ、清四郎ちゃん。…熱を加えるタイミングを間違うと上手くいくものも上手くいかなくなるわ。あの子はきっと今、清四郎ちゃんが自分を捜してくれるのを待ってるわ」
この発言にはさすがに自信のない清四郎は頬を染めて苦笑する。
「……どうして言い切れるんですか?悠理は、僕を嫌って3階の窓から飛び出していったんですよ?普通では考えられないですよね?」
百合子夫人は万作氏と寄り添いながら笑った。
「−−悠理の所まで行って、あの子を捕まえてみれば分かるわ。あの子は私達の娘ですもの」
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