E.O~can't U see?~  

  

 注:心と体が18歳未満の方は、お戻りください。Rシーンのみですので、苦手な方も。

 

 <R>  

 

 

首筋を這っていた男の唇が、むき出しにされた胸に到達する。

先端を咥えられ、悠理は官能に震えた。

それは、本能に忠実な体ばかりでなく。

 

立ったまま見下ろした自分の胸元には艶やかな黒い髪。

顔を上げて微笑を浮かべる濡れた口元。

こんな熱を孕めるのだと初めて知った黒い瞳は、あの冷然とした友人のものと同じ。

 

思わず、悠理は両腕で自分の顔を隠す。

心が震えた。

あの『菊正宗清四郎』に抱かれるのだと、思うと。

 

 

ベッドで身を重ね、ふたりは全裸で抱き合った。

惑星の近くを航行している船は、窓から星明りが煌く。灯かりを消した室内でも、互いの姿が見えた。

実戦で鍛えられ引き締まった彼の体は、彫像のようだ。

彼女の体もまた、数多の修羅場を乗り越えた痕を残す。

 

「ああ、こんなところまで、傷が・・・」

清四郎は悠理の体を指と唇で確かめるように探りながら、大げさに嘆息した。

共に夢を見て、過去の記憶を取り戻してから、彼はずっと彼女の体の古傷を痛ましげに辿る。

いや、自分の落ち度でついた瑕のように、悔いている。

『剣菱悠理』には、決してあり得なかった数々の傷。

彼がそばに居れば、なかったに違いない傷だから。

 

「・・・あたいが、生きてきた証だよ」

戦ってきた証。誇りさえ、感じている。

「わかっています」

彼女を見下ろす彼の前髪が流れ落ちる。

黒い瞳が揺れて、思いがけず彼の表情を幼く見せた。

 

「おまえが戦い続けて来たから、僕らは出会えた。いまのおまえだから、こうして抱き合える」

長い指が悪戯をしかけるように、彼女の肌をくすぐった。

唇が後を追う。

大きな手が揉み込んだ胸の、尖り始めた胸の先を薄い唇が再びついばむ。舌先で弄ぶ。

コリコリとくじりながら歯を立てられた。

 

「だけど・・・・もっと早く、出会いたかった」

 

甘く齧りながら呟かれ。

悠理の体に痺れが走る。

敏感な部分への刺激に。彼の囁きに。

 

宇宙船の微重力の中で、浮遊するのは、心。

愛撫に蕩け始める体に比例して。

 

 

指先は休むことなく白い傷跡をたどり、体の最奥にまで分け入る。

濡れた音を立て、指は女の花弁をくすぐった。

深く差し込まれ、欲望を掻きだすように抜き差しされる。

「あ・・・・ぅん」

快感の吐息を漏らすと、意地悪な彼は指を引き抜いた。

糸を引くぬめりを、彼の紅い舌が拭い取る。

「感じやすい体ですな」

皮肉な口調。

余裕の愛撫で悠理を煽りながら、清四郎は顔を上げ、唇をゆがめた。

悔しげに。

 

「おまえにこんな傷を負わせた不甲斐ない相棒たちに・・・・・・・・おまえの目の前で死ぬことによって心にまで傷をつけた男たちに、腹が立って仕方がない」

 

男は拗ねたように乱暴に、悠理の膝を割る。

大きく開いた脚を自分の肩にかけ、一転、優しく口づけた。

紅く色づき男を誘う部分に指を這わせながら、白い傷跡を舐め上げる。

内股にまでついた傷。戦闘の痕であったそれを、愛咬の痕に彼が変える。

 

「・・・せいし・・・あっ」 

疼く部分に、再び埋められる長い指。そして、親指がなおも亀裂を暴き、粒を弾いた。

「く・・・あ、あっ」

悲鳴じみた喘ぎを上げる悠理に、清四郎は破顔した。

 

「白状しますよ。おまえを抱いた男たちに、僕は嫉妬しています」

 

快感に眩んだ悠理の意識に、清四郎の笑顔が刺激を与える。

 

こんなときに相応しくないほど、素直な彼の笑み。

こんなに意地悪なのに、澄んだ深い色の瞳。 

悠理の胸の奥が疼いた。

体の奥底に彼を感じる。

心の奥底に彼を感じる。

 

指の代わりに、熱い彼自身が彼女の中に押し込まれた。

欠落した部分に埋まる、確かな存在感。

過去も孤独も、大きすぎる彼の熱情に埋められてしまう。

 

「うぁ・・・・」

ゆっくりと差し入れられ、奥まで到達する塊が、心までも犯す。

「ゆうり」

少し舌足らずに名を呼ばれ、悠理は自分から彼の唇を求めた。

貪り絡め、全身で交じりあう。

 

内部を擦り動く彼の律動が、徐々に激しさを増す。

自然に腰が浮き、彼の肩で揺さぶられていた脚を移動させて締まった腰を挟んだ。

より密着する体勢に、ふたりの間で湿った音が立つ。

跳ね上がる体を制御できない。

清四郎が激しく突き入れるたび、悠理は声を上げて身悶えた。

 

激しく揺さぶられるのは、体だけじゃない。

修羅場も戦いも越えて来たけれど、こんな感情に翻弄されたことはなかった。

 

「清四郎・・・清四郎!」

ただ、彼の名を繰り返し、何度も襲ってくる絶頂感に耐えた。

 

無垢な少女だった『悠理』のように、『ユーリ』にとってもそれは初めての感覚だった。

恋はおろか、愛すら知らなかった。

誰かを求めたことなど、これまでなかった。

命をかけて守られたことも。

 

絶対的な安心感。

自分よりも信頼できる存在。

あの頃、『悠理』が当然のように持っていたものを、ようやく彼女は手に入れたのだ。

 

 

――――満たされていた。

探し求める必要がないほど。

美童や可憐が恋を求め、魅録や野梨子でさえ恋に落ちたあの頃。

悠理と清四郎だけは、そんなものを必要としなかった。

あまりに自然にそばにあった愛に、満たされていた。

 

 

最奥にまで穿たれ、懸命に逞しい肩にすがりつく。

微重力の中、絡み合う体だけがリアルだった。

閉じた目の裏に何度も星が散る。感情をぶつけあうように、求め合う。

体だけでなく、心の奥深くまで突き上げて。

ノヴァの閃光が全身を貫く。

広大な宇宙でも、もう孤独ではなかった。

 

清四郎は激しく悠理を絶頂に追い上げ、奥深くで放った。

彼の存在で、彼女を一杯に満たして。

何度も、何度も。

 

 

 

 

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