ダイアモンド――――結晶構造を持ち、天然で最も硬い物質である。

石の言葉は 『永遠の絆・純潔』

 

 

 Diaーmond  -1-

 

 ニューヨーク・現在

 

閉められたカーテンの隙間から、NYの街の灯かりが差し込む。

「探しましたよ。」

清四郎の言葉に、長い手足を物憂げにソファの上に投げ出したまま、男は振り返った。

悠理のそれに似た明るい色の髪が、ふわりと揺れる。暗い室内にあっても、面変わりしたように憔悴した貌は見て取れた。

「・・・やっぱり、俺を探し出したのは、おまえかよ・・・。」

言葉には苦渋が滲む。

ジーンズの膝の上に無造作に置かれた黒光りする銃。

清四郎は当然、予想していた。その銃口が、自分に向けられることを。

 

「欲しいものは手に入れたのか、菊正宗清四郎?」

玩具のように銃を弄びながら、男は清四郎に問いかけた。

 

「・・・・いいえ。」

清四郎は答える。

 

「嘘を吐きやがって。」

男は薄笑いを浮かべ、銃を清四郎に向けた。

 

「悠理を、抱いたんだろう?」

 

らしくない揶揄するような口調。

清四郎の体に緊張が走る。

こうした事態を予想しながら、魅録に建物の入口までで留まるよう頼んだのは、まだ説得を諦めていなかったからだ。

 

内心の焦りを隠し、清四郎は口を開いた。

「・・・・僕は、悠理の依頼で君を探し出した。君に二つの選択肢を提示するために。僕と一緒に悠理の元に戻るか、奪った物を置いて消えるか、だ。」

彼女のために。

悠理の望みを伝えるために。

「今ならまだ間に合います。彼女はまだ、元に戻れると信じています・・・君を、愛しています。」

それは、清四郎にとっては苦しい言葉であったのだが。

男は顔を歪めた。薄笑いは、幼子の泣き顔のように崩れた。

 

「答えろよ!悠理を、抱いたんだろう?!」

 

駄々っ子のような、叫び声。

こんなところまで、彼は悠理に似ている。

説得しようとしても、無駄かもしれない。

清四郎は実力行使に出るべく、銃口との距離を測った。

 

 

 

 

東京・二週間前

 

 

――――変わらない絆を、信じていた。

それは、不確かな感情などよりも、強いと思っていた。

 

 

「久しぶりだね、清四郎。」

「さすがに、顔を出したか。」

「いつ帰国したんですの?」

パーティ会場で清四郎は仲間達に取り囲まれた。

「空港からたった今着いたところです。飛行機が遅れたんですが、なんとか間に合ったようですね。」

着慣れたフォーマルのスーツは借り物でなく自前だ。仲間達もそれぞれ華やかな衣装をまとっている。

久しぶりに会ったためだけでなく、彼ら皆の顔からは興奮が読み取れた。

「それで清四郎、いつまで居られるんだ?」

「今回は一時帰国ですが、実は、今後仕事をこちらで行うつもりなんです。」

「じゃあ、式にも出られるわね!」

清四郎は軽く頷いて微笑を浮かべる。

感情を面に出さないようにするのは慣れていた。

 

「・・・ところで、本日の主役は?どうしても来てくれ、と電話で脅迫されたんですよ。」

盛大なパーティ会場を、清四郎は見回した。

マスコミを呼んでの会見は終わったらしく会場は無礼講の立食パーティとなっている。雛壇はすでに空席となっていたが、派手な金屏風にデジャブを感じ、清四郎は思わず目を細めた。

「そりゃあ、こんなことでもないと帰って来ないんだから、悠理も脅迫するわよ。あんた、まだ悠理の婚約者にも会ったことないんでしょ?水臭いんだから。」

ドレスアップした可憐が思わせぶりな流し目をくれる。

「けど、あの雛壇といい、悠理の婚約といえば・・・どうしても、いつかを思い出すわよね〜。」

「可憐、よしてくださいな。今日と言う晴れの日には、悠理にも彼にも失礼ですわ。」

野梨子が眉を顰める。

「まるで”忌まわしい過去”呼ばわりだよね、清四郎との婚約は。」

ぷぷ、と美童は吹き出した。

清四郎は魅録と顔を見合わせ、タキシードの肩を竦めた。

「・・・・もう、忘れましたよ。」

実際、愚かな過去を清四郎が思い出すことは、ほとんどない。

いや、思い出さないように、している。

 

 

「あ!」

華やかな笑い声の上がる一群から、ぴょん、と本日の主役が飛び上がった。

人波をかき分けるように駆け寄って来たのは、悠理だ。

「清四郎!来てくれたんだな!」

ふわふわの髪が跳ねる。

清四郎はふたたび目を細めた。懐かしい友人の眩しい笑顔に。

ドレスを着て薄化粧を施していても、悠理は変わらない。

生気に満ちた大きな瞳、紅潮した頬。感情のまま、身の内から輝いている。

幸せなのだな、と清四郎は安堵した。愚かな過去とは違い、彼女は自ら望んで、結婚するのだと。

 

「おめでとうございます、悠理。」

笑顔を向けると、悠理は鮮やかに頬を染めた。

悠理の照れた顔に、清四郎は胸に鈍痛を感じた。

彼女が彼の知らない色をその面に浮かべていたから。

子供のようなはにかんだ表情は、悠理らしくもあったが。

白い肌を上気させる薔薇色の艶。

それは、清四郎が初めて見た、悠理の女の貌だったかもしれない。

いや、これまで気づかないふりをして来たのだ。悠理が眩しいばかりに美しい女であることに。

 

胸の奥で疼くのは、かすかであるが苦い痛み。

清四郎は自分を抑え、笑みを浮かべた。そうしなければならなかった。友人を祝福するために、ここに居るのだから。

 

 

 

「彼は?紹介してくれないんですか?」

「あ・・と、うん。」

清四郎が促すと、悠理は背後を振り返った。

「仁義!」

悠理に呼ばれ、彼女と揃いの白いタキシードを着た長身の青年が近寄って来る。

「ひでーぜ、悠理ぃ。おまえこんな皿を押し付けて走り出しやがって・・・」

柔らかそうな薄い色の長めの髪が、端整な顔の輪郭を覆っている。ハンサムではあったが、今風の青年にはタキシードが借り物のように似合っていない。ましてや、食料が山盛りの大きな皿を二枚も両手に持っている姿では。

 

 

「仁義、初めてだよな。こいつが清四郎。」

悠理の紹介に、清四郎へ顔を向けた彼の目が大きく見開かれる。悠理と似た薄茶の切れ長の瞳が、表情豊かに輝いた。

大皿は、本来の持ち主の手に投げ渡される。

青年はタキシードのズボンで汚れてもいない手を拭った。その右手を清四郎に差し出す。

「・・・オレ、月桂冠仁義、です・・・その、ヨロシク。」

斜に構えた体勢、ぶっきらぼうな口調。しかし、伏せ目がちに清四郎を見上げた彼の頬は赤らんでいる。どうも、人見知りするタイプらしい。

「噂だけは悠理から聞いてたんで、会えて嬉しいっす。」

若さの出た口調は、この場にもタキシードにも相応しくなかったが。

清四郎は笑みを浮かべて彼の手を取り握手した。

「菊正宗清四郎です。こちらこそ、よろしく。どんな噂か怖いな。」

清四郎が悠理をペット扱いし、バカだのアホだの罵倒していたのは、それほど遠い昔ではない。

「あたいと違って、清四郎は頭いーんだって、褒めてたんだよ。なっ、仁義!」

えへへ、と悠理は学生時代と同じわざとらしい笑みでごまかそうとする。

婚約者は悠理の頭をペシリと平手で叩いた。

「それって褒め言葉か?悠理に比べれば、誰でも頭良いだろ。」

「あっ、おまえにだけは言われたくない!」

頬を膨らませた悠理の頭を押さえつけたまま、仁義は清四郎に顔を向ける。

「冗談抜きで、有閑倶楽部のリーダーはすごい人なんだって常々聞かされてたっす。」

「それに、人を思い通りに操るのが上手いとか。」

「目的のためには手段を選らばねぇよな。」

「薄情なところもありますわね。」

 仲間達が笑いながら後を続けた。

清四郎は苦笑を浮かべ聞き流す。相変わらず、口の悪い友人達だ。

恋人同士というよりも仔犬の兄弟のように小突きあってじゃれているカップルに、清四郎は苦味を消した笑みを向けた。

 

「今日は本当に、おめでとうございます。悠理を幸せにしてやってください。」

思いのほか、自然に言葉は口から出ていた。

強く手を握ると、仁義はへへ、と照れくさそうに笑った。

子供っぽい表情は、悠理のそれに似て。無邪気で幸せそうな笑みには、好感を抱かずにはおれなかった。

 

 

 

「悠理、すっごい指輪してたね。」

カップルが他の来賓に挨拶に去った後、美童が呟いた。

悠理の華奢な白い指の薬指に嵌まっていた指輪には、誰もが気づいていた。

「婚約指輪ですかしら?ダイヤのようですけれど、少しピンクがかってたような・・」

「あれは、世界有数のピンクダイアモンドよ。」

「”リリィ・ダイアモンド”ですね。」

可憐の言葉を、清四郎が続けた。

美童はまだ悠理の背を見つめている。

「・・・どう思う?清四郎。」

促され、清四郎も来賓たちに祝福を受ける二人の姿を目で追った。

「どう思うって、月桂冠くんを、ですか?・・・正直、意外だな、と思いましたね。」

「あら、結構お似合いでしょ?」

二人が並ぶと、対の人形の様で初々しい。

「ええ、もちろん。そういう意味でなくて・・・」

「剣菱の跡継ぎらしくは、ありませんわね。」

野梨子が清四郎の言いたいことを代弁した。

「そうですね。でもリリィ・ダイアモンドを渡されたということは、おばさんのお気に召したんでしょう。あれは、百合子おばさんが悠理の結婚の時に、と秘蔵していた剣菱家所有最大のダイアモンドですからね。」

「まぁ清四郎、詳しいですわね。」

清四郎は当然だと頷く。

「だけど、あれは母から娘に引き継がれる家宝のたぐいですから、月桂冠くんに関することでもうひとつ分かるのは、彼が剣菱の娘に贈る指輪で勢を誇示するような資産家の御曹司などではないということですね。」

 

実際に悠理と彼に会ってみて、清四郎が感じたのは、意外にも安堵だった。

悠理から結婚を告げられた時には、自分でも驚くほど狼狽してしまった。それはやはり、らしくない感傷だったのだろう。

 

「悠理は、良い恋愛をしたんですね?彼は悠理に夢中のようだ。剣菱家の婿というよりは、魅録の友達のバイク仲間から発展した・・・というところですか。」

 

胸の奥で疼くのは、安堵と感傷。

彼が怖れたのは、彼女が変わってしまうこと。

だけど、悠理の笑顔は変わっていなかった。彼の知らなかった色を纏おうと、悠理は悠理で。

彼らの友情は変わらない。いくら時が経とうと。

少しの淋しさはあれど、古い友人として彼女の幸せを願う気持ちは、本当だった。

 

微笑ましいほど、似合いのふたり。 

悠理と軽口をたたきあいながら、婚約者はまた大皿を持たされ、似合わない社交の場に引き回されていた。

 

「その洞察、半分は当たってるな。」

魅録が清四郎に片目を閉じて笑みを浮かべた。

 

 

会場の隅で集まっていた仲間たちの元に、人込みを掻き分けて羽織袴の万作が現れた。

「清四郎くん、よく来てくれただ!」

数年ぶりに会った万作は、挨拶もそこそこに、清四郎に焦り顔を向けた。

「おめ、弁護士だっただな?相談に乗って欲しいだよ!」

「おじさん?剣菱にはお抱え弁護士事務所があるでしょうに。僕は司法習得を終えた後すぐ渡米しましたので、資格は持っていますが、どこかの事務所に所属しているわけではありませんので・・・」

「そんなことどーでもえーだ!こんなこと頼めるのは、おめぐらいだで!」

万作は清四郎に詰め寄り、顔を近づけ声を潜めた。

「・・・悠理と結婚しても、あいつに剣菱とかかわらせたくないだよ。オラ達になにかあった時のために、法的措置が取れるだか?」

万作の剣呑な言葉に、仲間たちの顔が強張った。

祝賀ムードが瞬時に吹き飛ぶ。

「どういうことですか?あの男に、なにかあるとでも?」

一目で好感を抱いた少年じみた笑顔の青年。幸福を願ってやまない大切な友人の未来に、一片の曇りが差す。

「・・・いや、そういうわけではないだども・・・」

万作は困った顔で口ごもった。

「仁義はいい奴だし、あいつは剣菱に興味ねぇし、きっと悠理は幸せになれるだろうけども・・・なんか心配でな、法的にきちんとしておきたいだよ。」

「月桂冠くんは、剣菱の経営にはタッチしないんですね?それでもおじさんは何か引っかかるんですか?」

それは、手中の珠を嫁に出す、父親の感傷かも知れないが。

「んだ。清四郎くんには、今後も相談に乗ってもらいたいだよ。」

僕でよければもちろん、と清四郎が快諾すると、万作は安堵の表情で立ち去って行った。

 

 

清四郎は腕を組み、客と歓談しているカップルから目を離さない。

「どういうことですか?」

問いかけは、仲間たちに。

「うん・・・あたしたちも、彼には2,3度会ったことがあるだけで、よくは知らないんだけど・・・」

「半分だけ当たってるって言っただろ。奴はもともと俺の友達じゃねぇよ。悠理の行きつけの輸入雑貨店の雇われ店長で、気の会う友人だって、引き合わされたんだ。」

「僕らに紹介してくれた時の悠理の雰囲気じゃ、ボーイフレンド程度の付き合いに見えたんだけど、彼の方はベタ惚れでさ。」

「なんでも、初めて剣菱のおじ様とおば様にお会いしたときに、悠理と結婚させて欲しいと、土下座したそうですわよ。」

「それはそれは・・・情熱的ですな。」

「ああ。それでその後、おじさんが心配して、俺に奴さんの身元調査を依頼したんだ。さっきみたいな剣幕でな。」

魅録のその言葉は初耳だったのか、清四郎以外の仲間たちも、驚いて魅録の顔を見つめた。

魅録は落ち着いた所作で、煙草に火を点ける。

「で?」

促されて、魅録は肩をすくめる。

「さっきのおじさんの態度を見ただろ。おじさんの野生の勘は顕在だ。確かに仁義は悪い奴じゃねぇが、少々の問題アリ、ってとこだな。清四郎の洞察も半分は不正解。あいつは、実は北陸じゃちょっとは知られた組の御曹司でな。」

「親がやくざなのかい?そういえば、仁義って名も、それらしいよね。」

美童だけでなく、可憐と野梨子も表情を曇らせた。

「いや。暴対法の影響か、あいつの親は看板を畳んで今じゃ会社経営者だ。しかも息子は堅気にしたかったらしく、あいつ自身は中学卒業と同時にアメリカに留学させられてる。だから組のゴタゴタには無縁みたいだぜ。」

「なるほど。だから英会話に不自由はないってわけですね。」

清四郎の視線の先では、悠理に替わって、月桂冠仁義が外国の賓客の応対をしている。慣れない社交に困惑が明らかなのと、日本語さえ不自由に見える風体であるのをさておいて。

「向こうの高校を出てしばらくはブラブラしてたみたいだが、帰国してからは、今や堅気とはいえ脛に傷持つ身の親から縁切り代わりに輸入雑貨の店を持たせてもらって、それなりに真面目に商売してるようだぜ。剣菱の資金が必要な規模の店じゃないし、悠理の財産をあてにしなくても、山っ気さえ出さなきゃ食うには困らない。本人も剣菱に入ることは一貫して固辞しているしな。おじさん達にすりゃさすがにもろ手を挙げて賛成できないが、悠理と結婚するのに問題があるわけじゃねぇってわけだ。」

魅録の言葉に、仲間たちは顔を見合わせる。

悠理の結婚は心から祝福したい。それに、悠理と雰囲気の似た月桂冠仁義は、反感を抱くことが困難な相手だ。

「剣菱家サイドも、悠理の結婚相手をあてにすることはやめたようですわ。」

「おじさんもおばさんも、昔の一件で、懲りたんでしょーね。」

「悠理には好きな相手と望む生活を送って欲しいって、結婚を許したみたいだよ。」

仲間たちの言葉に、清四郎はやっと表情を緩めて苦笑した。

「それはそのまま、僕ら仲間の願いでもありますね。」

ただ望むのは、悠理の幸せ。

 

 

 

* *********

 

 

――――悠理の幸せ。

確かに、それを願っていたはずなのだ。月桂冠仁義も、清四郎も。

 

 

 

「・・・好きなんですね?彼のことが。」

婚約パーティの夜。

酔い覚ましにかバルコニーへ出た悠理が一人になった機に、清四郎は彼女へ問いかけた。振り返った悠理は、シャンペンを掲げて見せる清四郎へ、眉を下げた笑みを見せた。

「・・・悪かったな。わざわざ帰って来させちまってさ。」

「いえ。悠理の人生の大転機だ。立ち会えて嬉しいですよ。でも、おまえがまさか仲間内で一番に結婚することになるとはね。」

そう言ってから、清四郎はクスリと苦笑。

「しかも、恋愛結婚だ。」

悠理はムッとすることもなく、睫を伏せた。

「正直、よくわかんないってか・・・あれよあれよという間にこんなことになっちゃって・・・おまえらも驚いただろうけど、あたいも驚いてんだ。」

夜風に震える睫が、彼女を儚げにさえ見せる。

やんちゃで溌剌とした昔のままの少女の面に垣間見える、かつては知らなかった艶。白いドレスの悠理は、可憐な花のように見えた。

意外な姿に、清四郎の胸がドキンと脈打つ。内心の戸惑いを隠し、軽い口調で問いかけた。

「聞きましたよ。月桂冠くんは、おじさんおばさんに土下座したそうですね?」

悠理は伏せていた顔を上げた。

「はは、バッカだろ?初めて会うなりだぜ!しかもそんとき、あたいは友達だと紹介しただけなのに。父ちゃんと母ちゃんも絶句してたけど、あたいも度肝抜かれてさぁ。」

「へぇ・・・それはそれは。彼の先走りだったんですか。」

「その後、あたいは勝手なこと言うな、って怒鳴りつけたんだけど。あいつが膝抱えていじけてる姿見たら、なんか可哀想になっちゃって。」

イシシ、と悠理は歯を見せて笑った。照れ笑い。

「仁義とは、気が合うんだ。それにあいつ、こんなあたいのこと・・・あたいのまんまでいいって言うんだ。」

頬を染めた悠理の瞳は、夜空の星を映したように潤んで輝く。

「ずっと笑ってろ、って言ってくれるんだ。」

彼が好きか、と問いかけたお節介な清四郎の余計なお世話に対する悠理の答えは、切なげな笑み。恋する女の貌だった。

 

大口笑いも、ごまかし笑いも、照れ笑いも。悠理の笑みは、色を変えても貴重な宝石の輝き。

幸福な笑みをずっと浮かべていて欲しいと望むのは、清四郎だけでなく、皆の願いだ。

 

あの笑顔を守りたいだけだった。

そう確かに。この夜は。

 

 

 

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タイトルのダイアモンドの間に−が入っているのは、矢井田瞳のアルバムタイトル「daiya-mond」をマネしただけで意味なしです。いや、ダイアモンドって言ったら世代的にプリプリの歌が浮かぶので、自分的に区別したくて。

千尋様のキリリクのつもりですが、たむらん画伯のリクで書いた「マワルソラ」の一応続編です。んが、第一回ですでにいきなりどっちのリクにも沿ってないかも、と不安に。(←殴)

設定的にちょっとしんどい話ですが、私の書きたいのはエロエロなんで、構えず読んでいただけたら幸いです・・・・・はっ、今気づいた!リクにはエロなど一言もない!あかんやん!(←蹴)

 

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